小説「新・人間革命」  3月21日 人間外交17

田原学生部長の歓迎あいさつの後、一行十七人が紹介され、日本の青年部から花束と記念品が贈られた。

 次いで、男子部員による歓迎太鼓が高らかに鳴り響き、音楽隊が中国の歌曲を演奏。さらに、女子部合唱団による「花」の合唱など、歓迎の舞台が続いた。

 それに対して、中国青年代表団は「さくら」の独唱で応え、心がとけ合う友情の交流となった。

 ここで、中国青年代表団の団長があいさつに立った。

「山本会長が中日友好を促進するために行った努力は、中国人民の心に印象深く残っております。

 今度は、世々代々の友好へ、両国の青年が団結し、励まし合い、友情の花を、一層鮮やかに咲かせていこうではありませんか!」

 全男子部員の思いを代弁するかのような、団長のあいさつであった。

 続いて青年部長の青田進は、日中友好への決意を、強い口調で訴えた。

「私たちは、山本先生が命がけで築いてくださった日中の“金の橋”を、末永く互いに行き来し、手を取り合って前進していきたい。

 われらの責任において、希望の虹かかる未来の友誼の道を開いていくことを、ここに誓うものであります」

 苗木の群れは、やがては鬱蒼たる森になる。青年のスクラムは、未来を守る平和の城塞となる。

 ゆえに、全精魂を注いで青年を育成するのだ。青年を育むことは、希望を育むことだ。

 そして、シュプレヒコールが響いた。

「われわれは世々代々にわたる日中友好の道を開くぞ!」

「日中の“金の橋”を盤石にするぞ!」

 最後に壇上で、青年部長の青田らが団長の左右の手を取って高く掲げると、大拍手が轟いた。

 その時、「ワーッ」という掛け声とともに、男子部員が進み出て、団長を胴上げした。

「ワッショイ! ワッショイ!」

 団長の体が、何度も、何度も宙に舞った。

 それは友情の波に躍るシャチの姿を思わせた。友誼の潮は、青年の海に広がったのである。

 青年が前面に躍り出て一切の責任を担い、誇らかに行進を開始する時、新時代の幕は開かれる。