小説「新・人間革命」 共鳴音24 6月16日
ペッチェイ博士と山本伸一の語らいのテーマは多岐に及んだ。
文化交流の必要性、グローバルな視野をもった人間教育の在り方、時代状況を把握する方途や、国連・ユネスコへの期待など、当面する人類の諸問題から、未来のあるべき方向を鋭く論じ合うものとなった。
日本の進むべき道が話題になった時、伸一は言った。
「日本は、政治、経済の次元で世界をリードしていこうというのではなく、新たな方向性を考えるべきです。
政治の次元は必ず力の論理が、経済の次元では利害の論理が、どうしても先行してしまう。
百年前の明治維新以来、日本は武力をもって世界に出た。軍国主義です。第二次大戦後は経済をもって世界へ進出しました。経済至上主義であり、“エコノミックアニマル”と揶揄されてきました。
これからの日本は、平和主義、文化主義の旗頭として、国際社会に、人類に貢献すべきです。
つまり、“軍事大国”“経済大国”をめざすのではなく、“平和大国”“文化大国”をめざすべきです。
そして世界にあって、東西の、また、南北の、文化の懸け橋となっていくことです。
そのためには、グローバルな視野に立った人間教育、平和教育が必要になります」
伸一は、日本の新しい在り方の柱を、「文化」「教育」に置いていたのである。
スイスの大教育者ペスタロッチは述べている。
「教育と人間性の錬磨、そして人間の文化を通してのみ、人類を救うことができる」(注)
対談は、人間革命に始まり、また、人間革命に至った。
博士は、科学技術という巨大な力をもった人間が、その力を意のままに行使した結果、今日の地球的規模での危機的状況を招いたと喝破し、その根本要因について、こう力説した。
「それは、人間自身のエゴです。そこに、人類の諸問題における主要な原因があります。したがって、人類の繁栄と幸福のためには、人間革命が必要なのです。それが人類の未来を決定します」
博士の目の輝きが、必死なまでの真剣さを物語っていた。
引用文献: 注 ペスタロッチ著『人間の教育』フィロソフィカル・ライブラリー社(英語版)
文化交流の必要性、グローバルな視野をもった人間教育の在り方、時代状況を把握する方途や、国連・ユネスコへの期待など、当面する人類の諸問題から、未来のあるべき方向を鋭く論じ合うものとなった。
日本の進むべき道が話題になった時、伸一は言った。
「日本は、政治、経済の次元で世界をリードしていこうというのではなく、新たな方向性を考えるべきです。
政治の次元は必ず力の論理が、経済の次元では利害の論理が、どうしても先行してしまう。
百年前の明治維新以来、日本は武力をもって世界に出た。軍国主義です。第二次大戦後は経済をもって世界へ進出しました。経済至上主義であり、“エコノミックアニマル”と揶揄されてきました。
これからの日本は、平和主義、文化主義の旗頭として、国際社会に、人類に貢献すべきです。
つまり、“軍事大国”“経済大国”をめざすのではなく、“平和大国”“文化大国”をめざすべきです。
そして世界にあって、東西の、また、南北の、文化の懸け橋となっていくことです。
そのためには、グローバルな視野に立った人間教育、平和教育が必要になります」
伸一は、日本の新しい在り方の柱を、「文化」「教育」に置いていたのである。
スイスの大教育者ペスタロッチは述べている。
「教育と人間性の錬磨、そして人間の文化を通してのみ、人類を救うことができる」(注)
対談は、人間革命に始まり、また、人間革命に至った。
博士は、科学技術という巨大な力をもった人間が、その力を意のままに行使した結果、今日の地球的規模での危機的状況を招いたと喝破し、その根本要因について、こう力説した。
「それは、人間自身のエゴです。そこに、人類の諸問題における主要な原因があります。したがって、人類の繁栄と幸福のためには、人間革命が必要なのです。それが人類の未来を決定します」
博士の目の輝きが、必死なまでの真剣さを物語っていた。
引用文献: 注 ペスタロッチ著『人間の教育』フィロソフィカル・ライブラリー社(英語版)