2008年9月29日付 聖教新聞 秋期彼岸勤行法要での名誉会長のスピーチ 下

2008年9月29日付 聖教新聞
秋期彼岸勤行法要での名誉会長のスピーチ 下

学会は対話で社会をリード
戸田先生「確信こそ人生の宝」
常勝の方程式は祈りと行動
ポーランド出身の女性革命家 「歴史は私たちの手中にある」

一、「大願とは法華弘通なり」(御書736ページ)
 これが日蓮大聖人の大宣言であられた。
 世界から一切衆生の苦しみをなくしたい。そう強く願われた。
 そして、御本尊を「法華弘通のはたじるし」(同1243ページ)として掲げられたのである。

 戸田先生の発願
 一、この大聖人の甚深の御心が留められた、広布大願の御本尊こそ、師弟会館に御安置された御本尊であられる。
 向かって右に「大法弘通慈折広宣流布大願成就」、左には「創価学会常住」と認められている。
 創価学会常住御本尊を発願されたのは、戸田先生であった。
 第2代会長に就任された直後、昭和26年(1951年)の5月12日に、先生は、「金剛不壊の大車軸」として、創価学会常住御本尊を請願された。
 この熱誠に応えて、同月19日、学会常住御本尊が、日昇上人によって認められ、翌20日、戸田先生に直接、授与されたのである。
 そして、表装などを整えて、7月22日、戸田先生のもと、奉戴式が行われた。
 先生は、深い真情を、次のように語られた。
 「わたくしは五月三日、会長に就任し、学会は、『生命は永遠であり、われわれこそ、末法に七文字の法華経を流布すべき御本仏の眷属なり』との自覚を生じて、牧口会長が口ぐせにいわれていた発迹顕本をしたのである。
 この確信において、広宣流布大願の曼陀羅をお願い申しあげ、精兵集い寄って、壮大な開眼奉戴の式が営まれたのである」と。

 常に師とともに
 一、創価学会は、大聖人に直結した、仏の眷属の集いである。
 広宣流布という大使命を帯びた、仏の教団である。
 御本仏・日蓮大聖人の大願である「大法弘通慈折広宣流布」は、そのまま、仏意仏勅の創価学会が断じて成就していくのだ──これが、戸田先生の誓願である。弟子である私の誓願である。
 戸田先生は、こうも師子吼された。
 「わたくしは、創価学会理事長を学会創立以来つとめ.、故牧口会長とは影の形にそうごとく、生死をともにするために生まれてきたのである。
 牧口会長のあの確信を想起せよ。
 腰抜け坊主が国家に迎合せんとしたとき、『日蓮正宗をつぶしても国家諫暁をなさん』との厳然たる命令は、絶対の確信のほどがしのばれるのである」
 この師匠の言葉に触れる時、生死を超えて、崇高な師弟の精神が迸ってくる。烈々たる破邪顕正の、師子王の魂が漲ってくるのである。
 戸田先生は、このときの指導を、「全東洋への広宣流布は、かならず成し遂げられることを確信するものである」と結ばれた。
 その通りに私は、戸田先生の不二の弟子として、創価学会常住御本尊を厳然と護り抜き、妙法を唱え続けながら、同志とともに、世界192カ国・地域へと広宣流布の波を広げてきた。
 一、なお、関西池田記念会館の「池田記念講堂」に御安置されている関西常住の御本尊には、「大法興隆所願成就」と脇書されている。
 この関西常住の御本尊は、昭和30年(1955年)の12月に、旧関西本部に御安置された。
 あの「大阪の戦い」で私は、この「大法興隆所願成就」の御本尊に祈り抜いて、「まさかが実現」の大勝利を成し遂げたのである。
 「大阪のいかなる人であれ、一人でも多く、このたびの戦列に加わって味方となるように!」と、早朝勤行も、丑寅勤行も行った。
 その私の祈りに呼応して、全同志が奮い立ってくださったからこそ、「大法興隆所願成就」の道を開くことができたのである。
 この御本尊を、広宣流布の勝利と拡大の「旗印」として、師弟不二の祈りと行動を貫いてきたことが、大関西の誉れである。
 この常勝の方程式は永遠に不滅である(大拍手)。

 御本尊中心の団結こそ最も強い
 一、創価学会の創立が、どれほど妙法に則った偉業であったか。
 宗門の大学匠であり、御書全集の編纂をつとめられた日亨上人は、しみじみと言われた。
 「御本尊様も本当に日の目を見たのは、学会が出現してからだ。学会のお陰で御本尊様の本当の力が出るようになったことは誠にありがたい」
 創価の師弟が、どれほど大聖人の御心に直結した、正統の存在であるか。
 また、日淳上人は明言されている。
 「大本尊より師弟の道は生じ、その法水は流れて学会の上に伝わりつつあると信ずるのであります。それでありますから、そこに種々なる利益功徳を生ずるのであります」
 学会には、正しき御本尊がある。正しき師弟がある。正しき広宣流布の和合僧がある。ゆえに断じて負けないのである。
 戸田先生は教えられた。
 「御本尊を中心とした団結ほど、この世で強く、固く、美しい団結はありません」
 「自分には御本尊を信じているという偉大な力がある。どんな困難にぶつかっても、どんな境遇になっても、またどんな時代になっても、必ず乗り切っていけるという信心がある。
 この確信が大事だ。これが人生の宝である」
 この大確信で、朗らかに戦い、断固として勝ってまいりたい。
 一、フランスの大思想家ルソーは『エミール』で論じている。
 「人間は生まれつき国王でも、貴族でも、宮廷人でも、金持でもありはしない」
 「みな、死ぬべき定めを負っている。これこそ、真に人間であるということ、また死すべきものとしてだれもまぬがれえないことなのだ。
 だからまず、人間の本性のうちで、死ともっとも切り離し難いもの、もっともよく人間性を成しているものを研究しなさい」(樋口謹一訳『ルソー全集第6巻』白水社) 偉大な知性は皆、「生死」という根本課題を真摯に探究しているものだ。
 スイスの思想家ヒルティは述べている。
 「死の問題は、あらゆる人生問題のうち最も重要なものである。これに対する態度こそ、すべての人の人柄を最もよくあらわすものである」(斎藤栄治訳『ヒルティ著作集第2巻』白水社
 私が対談した歴史学者トインビー博士も、現代の指導者層が生死の問題を避けていることが、さまざまな混迷の元凶であると強調されていた。
 だからこそトインビー博士は私たちに、仏法の生命観、生死の哲学を世界へ伝えていくことを、深く期待しておられたのである。
 先日(20日)は、アメリカのボストン21世紀センターで、「生死」をテーマに、2回目のセミナーが盛大に開催された。
 〈名誉会長が米ハーバード大学での第2回の講演「21世紀文明と大乗仏教」で言及した「生も歓喜、死も歓喜」の思想の意義を、文明再生への英知として幅広く考究するもの〉
 価値ある取り組みを支えてくださる皆様に、心から感謝申し上げたい(大拍手)。

 生死の河を渡れ
 一、大聖人は、涅槃経に説かれる「恒河(=ガンジス河)の七種の衆生」の話を引かれている。
 恒河、すなわち「生死の河」を渡る人々を7種類に分けたもので、信心と人生の実像を示された教えとして見ることができよう。
 まず第1の衆生は、生死の河に溺れて沈んでしまい、浮かび上がることができない。
 妙法を信ずる心がなく、正法正義に背くゆえに生死の迷いや苦しみに沈没せざるを得ない。
 第2の衆生は、生死の河に入って、いったんは川面に浮かび上がってくるが、まもなく沈んでしまう。
 ひとたびは信心をするが、悪縁に紛動されて信心を失って、生死の激流に飲み込まれてしまうのである。
 第3の衆生は、水面に出て、再び没することはない。第4の衆生は、水面に浮かんで、さらに四方を見渡す眼を持つ。
 また、第5の衆生は、水面から出て、岸に到るが、他の衆生を救うことはない。

 衆生のためにとどまる菩薩
 「さらに、第6の衆生は、河を渡り、浅瀬にまでたどり着く。しかし、「(そこに)住して去らず」(常盤大定訳『国訳一切経 涅槃部二』大東出版社)というのである。
 なぜ、その場から離れようとしないのか。
 仏は説く。「住して去らずとは、所謂菩薩が、諸の衆生を度脱せんと欲するが為の故に、住して煩悩を観ずるなり」(同)
 人々を救おう!──この思いを持った、勇気ある菩薩の姿なのである。
 そして第7の衆生は、彼岸に到達する。「水陸倶に行く」(同)とも説かれ、「水=世間」と「陸=出世間」とを自在に往来する力を具えた、仏界の境涯である。
 真の彼岸の精神は、この第6の菩薩の行動、そして第7の仏の境涯によって説き明かされていると言えよう。
 仏法は、私たちにとって、いかなる荒波にも負けない力である。そして、目指すべき確かな目的を示してくれる哲理である。

大阪の戦いのわが祈り
「いかなる人でも、一人でも多くこの度の戦列に加わって味方になるように!」

 「自他ともに!」これが学会精神
 一、私たちの次元で申し上げれば、自分だけが安穏な状態になってよしとするのではない。
 そこから再び、人々のために、逆巻く激流へと舞い戻っていくのだ。
 荒れ狂う現実社会の真っただ中で、勇敢に、人間のため、民衆のために戦い、一人また一人と救う。自他ともに、生死の激流を「渡り切る」挑戦こそ、我らの学会精神にほかならない。
 濁流の世間を、いささかも恐れない。
 「立正安国」の対話に勇んで打って出る。
 この学会活動の中にこそ、「常楽我浄」という最高の幸福境涯へと前進しゆく道がある。
 今、生きている人はもちろん、亡くなられた方々も包みながら、一切を希望の方向へ、喜びの方向へ、建設の方向へ、勝利の方向へ、リードしていくのだ。ここにこそ真実の意味での「常彼岸」の姿がある。
 大聖人は仰せである。
 「この経を一文一句でも聴聞して心に染める人は、生死の大海を渡ることのできる船なのである」「生死の大海を渡るのは、妙法蓮華経の船でなくては、かなわないのである」(御書1448ページ、通解)と。
 創価学会は、この日連仏法を掲げて、世界の民衆を、自行化他の実践を通して、成仏の大境涯へとリードしていく大船なのである(大拍手)。
 一、結びに、全同志に箴言を贈りたい。
 ポーランド出身の革命家ローザ・ルクセンブルク
 彼女が獄中から叫んだ、信念の言葉である。
 「わたしは、いかなる境遇に自分が置かれようと、真底からの幸福感を失うことはありません」(秋元寿恵夫訳『獄中からの手紙』岩波文庫
 また彼女は綴った。
 「歴史はまさに私どもの手中にあると確信しています」(伊藤成彦訳『友への手紙』論創社
 元気いっぱい、張り切って戦おう! 自分自身の幸福のために! 民衆の勝利のために!(大拍手)
 (2008・9・23)

秋期彼岸勤行法要での名誉会長のスピーチ 下〔完〕


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