2009年2月20日付 聖教新聞  長編詩 わが勇気ある永遠の同志に贈る-2 山本 伸一

2009年2月20日付 聖教新聞
長編詩 わが勇気ある永遠の同志に贈る-2 山本 伸一

友の激励に
モネは奮起し
描きに措き抜いた。
そして
ついに「睡蓮」の
世界的に有名な大傑作を
完成させたのである。

友情の深さ!
誠実な行動!
同志の心のつながり!
これこそ
人生の究極の魂だ。

戸田先生は
大事な幹部との懇談の折
厳然と言われた。
古い学会本部の
二階の会長室であった。

「不知恩の輩は
 断固 追放せよ!」
「師弟を忘れた幹部は
 断じて追放せよ!」
そして
「負けるなよ!
 この一生を
 勝利者と飾るのだ!」

師匠への
深い報恩の決意と
深い目標を待った
弟子こそが
深い価値ある人間として
生き抜いていけるのだ。

それは
先生の人生の最終章に入った
昭和三十二年
四月の頃であった。
私は一人
会長室に呼ばれた。

先生は布団を敷かれ
横になっておられた。
先生は言われた。
「大作!
 大作のような弟子をもって
 俺は本当に嬉しい。
 大作!
 おまえも
 俺も勝った......」
静かな声であられたが
力強く
先生は言い残された。

先生のお体は
大変に弱り果てておられた。
私の手を握りながら
先生は
「君よ
 世界広布を頼むよ!」と
仰せになられた。

私は泣いた。
涙が溢れた。
偉大な師匠の目にも
笑顔と同時に
涙が見えた。

あまりにも小さい
会長室であった。
今のような暖房なども
整っておらず
寒い感じがしていた。

それから
先生は静養され
いったん回復なされたが
体力の衰えは否めなかった。
二年間の獄中闘争は
あまりにも先生の身体を
痛めつけていたのである。

そして翌年
明るい光の春──
桜花に包まれるなか
常楽我浄の旅立ちの
あの四月二日を
迎えられた。

仏法の真髄には
師弟不二」の法理が
明かされている。

「弟子は枝葉の如く
 師は根の和し」
「弟子は流れの如く
 師は源の如し」
「弟子は火の如く
 師は薪の如し」
「弟子は草木の如く
 師は大地の如し」

弟子の栄光こそが
師匠の栄光である。
弟子の勝利こそが
師匠の勝利である。

近代経済学の父
アダム・スミス
青春時代
スコットランドの名門
グラスゴー大学
恩師ハチスン博士から
若き英知を鼓舞された。

「人類の幸福」のために
何が重要か?
それに向かって学べ!
探究せよ! と。

のちに スミスは
傑出した知性となって
師が自分を育んでくれた
大恩ある母校へ舞い戻った。
師と同じ教壇に立って
青年の育成に臨んだのだ。

自らが総長となっても
「あの決して忘れえぬ
 ハチスン博士」と
終生 恩師に感謝し
深く慕い続けたという。

崇高な師弟の劇が
幾重にも織り成されてきた
このグラスゴー大学から
私は名誉博士号を拝受した。
一九九四年の六月──
その荘厳なる儀式は
一生涯
忘れることはできない。

大学評議会のマンロー議長が
おごそかに
「推挙の辞」に立たれた。
壮麗なビュート・ホールに
幾たびも幾たびも
「ジョウセイ・トダ」と
わが師の名前が
高らかに響きわたった。

それは
戸田大学に学び
薫陶を受けた私が
永遠の師に捧げゆく
報恩の栄誉となった。
不二の宝冠となった。

私が会見の話を
いただいていた
アメリカの
若き第三十五代
ケネディ大統領は語った。
「歴史は、
 人間が作るものである」

自分自身の歴史は
自分自身が創るものだ。
いかなる苦労も
いかなる苦難も
いかなる戦いも
いかなる怒涛も
自分自身に与えられた
希望であり
宿命であり
わが人生の教科書だ。

恐れなく
それらを乗り越え
勝ち越えゆく信念を
一段と持ちながら
努力の魂を磨いた人間が
勝利者となるのだ。

さらに
ケネディ大統領は言った。
「もしわれわれが
 つかの間でも休止するならば
 過去の業績に
 甘んじているならば
 進歩の歩調に
 さからうならば
 危険に陥るだろう。
 時と世界は
 じっとしていないからだ。
 変化は生命の法則である」

たしか
このような文言であったと
私は記憶する。

人生は過去に
囚われるものではない。
いな
囚われてはいけない。

ゆえに
青年よ
君たちよ!
未来を常に見つめて
歩むのだ!
戦うのだ!
断固として進むのだ!

宇宙の森羅万象は
たゆみなく動いている。
その一切を
より良く変化させていく
究極の力が妙法である。
そして
この大宇宙をも包みゆく
偉大なる生命力は
わが胸の中にあるのだ。

さあ
朝が来た!
太陽が輝き昇る。
我らの心も
太陽のようでなければ
ならないはずだ。

青年よ
生き抜くのだ!
戦い抜くのだ!
勝ち抜くのだ!
一人ももれなく
幸福になるのだ!
そのための
一日一日である。

充実の一日とは
汝自身に勝つことだ!
人のため
社会のため
未来のために
大いなる魂を
燃え上がらせることだ!
悩み苦しむ友を
励まし救い
不滅の希望を
贈りゆくことだ!

さあ!
わが勇気ある
永遠の同志よ!
青春は前進だ!
人生は勝利だ!

 二〇〇九年二月十八日

  学会本部・師弟会館にて
  青年・勝利座談会を
       記念して

     桂冠詩人
     世界桂冠詩人
     世界民衆詩人

 ※フロンテの言葉は中岡洋訳、ゲーテの言葉は内藤道雄訳、大山定一訳、カントの言葉は御子柴善之訳、ポルテールの言葉は高橋安光訳、モネとクレマンソーの言葉は高階秀爾監訳、渡辺隆司・村上伸子訳、スミスの言葉は鈴木亮訳、ケネディの言葉は高村暢児編。

長編詩 わが勇気ある永遠の同志に贈る 山本 伸一 〔完〕

ブログ はればれさんからのコピーです。