2009年2月24日付 聖教新聞  婦人部・女子部最高協議会での名誉会長のスピーチ 下-2

2009年2月24日付 聖教新聞
婦人部・女子部最高協議会での名誉会長のスピーチ 下-2

 一、仏の説法を「師子吼」という。
 仏典には、「最勝の咆哮(叫び)」「恐れなき咆哮」「無比の咆哮」が師子吼であると記されている。
 大聖人は、女性の門下である千日尼に、こう仰せになられた。
 「一匹の師子王が吼えれば、百匹の師子の子は力を得て、諸の烏や獣は皆、頭が七つに割れる。
 法華経は師子王のようなものである。一切の獣の頂に立つ」(御書1316ページ、通解)
 リーダーの確信ある声の響きは、友を勇気づけ、魔を打ち砕く。正義の勝利へ、威光勢力を倍増させる。

 乙女との再会

 一、先日(11日)の本部幹部会では、うれしい再会があった。
 1989年(平成元年)の6月、私が北欧のスウェ-デンを初訪問した際に、スウェーデン文化会館で出迎えてくれた可憐な乙女がいた。当時のスウェーデンSGI青年部畏、ヨハン・ノードクイストさんのお嬢さんのナタリー・ノードクイストさんである。
 その乙女が立派に、世界的なバレリーナとなって来日し、駆けつけてくれたのだ。
 私も妻も再会を喜び、心から激励させていただいた。
 〈ナタリーさんは98年、「スウェーデン・ロイヤルバレエ団」に入団。数々の作品に、プリンシパル(主役)として出演してきた。
 2007年からは同団を休職し、「モナコ公国モンテカルロ・バレエ」の一員に。著名なジャン=クリストフ・マイヨ一芸術監督のもと、世界を舞台に活。このほど日本公演のため来日した〉

 成功とは「理想を実現すること」!

 一、日本におけるバレエの普及に貢献した恩人の一人に、ロシア出身の20世紀最大のバレリーナである、アンナ・パブロワ(1881~1931年)がいる。
 「瀕死の白鳥」等の代表作で知られる彼女は語った。
 「私は、劇場に響きわたる拍手喝采が成功とは思いません。成功とは、自分の理想を実現することです」(パブロワの言葉はマーゴ・フォンテーン著、湯河京子訳『アンナ・パヴロヴァ 白鳥よ、永遠に』文化出版局。以下同じ)
 自分が、人から喝采されるかどうかではない。
 自分自身が人々の苦悩や悲哀と戦い、感動と希望を贈る「使命の舞」を舞うために生き抜いたのである。
 彼女は、自身が成功した要因について、「すごいトレーニングに耐える強さと、完璧を期するまで、数千時間を費やす情熱を持っていました」と振り返っている。
 その最高峰の舞は、陰の壮絶な努力、果てしない練習の結晶であった。
 自分が決めた道を、まっすくに歩みゆく信念の結実であった。
 パブロワは言う。
 「稽古に稽古を重ね、また、その後に続くのも稽古です」
 「私は踊らなくてはならないという思いに、いつもとりつかれております。自分の家の稽古場で練習しているときも、誰もいない真っ暗な舞台の上にたたずんでいるときも、ライムライトを浴びて観客の前に立つときも、どの時をとっても、この思いは同じです」
 舞を舞う──それが私の天命だ。幸福だ。人生だ。いな、それが私自身なのだ。
 こう彼女は決めていた。だから、くじけなかった。
 どんな時でも、あきらめないで頑張った分だけ、大きな自分になれる。世界が広がる。
 自分らしく、伸び伸びと、使命の道を、どこまでも進むのだ。
 「もし、私が自分に対して満足し切ってしまうことがあったとしたら、私の可能性とかエネルギーは消え失せてしまうでしょう」
 これも、パブロワの言葉だ。
 向上心を失って、「もう、これでいい」と現状に甘んじてしまえば、限りない自分の可能性を自ら閉ざすことになる。
 どこまでも、上へ、上へ! 前へ、前へ!──それが人生だ。戦いである。
 これこそ、わが創価の芸術部の皆さんの心意気である。

 人を結べ! 心を結べ!

 ー、「芸術には人格的偏見も、国境もありません」とは、パブロワの揺るがぬ信念であった。
 彼女が、戦乱に苛まれた世界を回って、芸術という"平和の武器"をもって、人々を結んでいったことは、有名な史実である。
 "平和の大使"となって、困難な地域へも、わが身を惜しまず、勇敢に足を運んだ。
 本年、開港150周年を迎える横浜にも、1922年に到着し、日本で公演を行っている。
 彼女は訴えた。
 「軍事とか、条約とか、同盟とか、軍のお偉方とかいうものに対しては、何の信頼感も持っておりません。でも、世界のコミュニケーションをはかることがどれほど大切なことかということだけは、痛感しております」
 そして、「世界中に真の同胞愛が生まれる日」こそ、「私たち芸術家の輝かしい勝利の日になる」と確信を込めて語り、こう結論する。
 「『この美しいものを創り出した国の人々は、私の敵ではありえまい』
 これが、芸術というものが到達すべき必然的ゴールなのであります。なぜなら芸術、相互理解、博愛、これらはすべて根本的には同じものだからなのです」
 ここに芸術交流、文化交流の意義がある。
 人を結べ! 心を結べ!──それが、真実の文化の精神なのである。
 私が、多くの反対もあるなか、あえて民音民主音楽協会)を創立したのも、ただ世界平和を願う一心からであった。
 現在、民音創立45周年を記念して、私の友人である、世界最高峰の振付家ジョン・ノイマイヤー芸術監督が率いるドイツ「ハンブルク・バレエ」の民音公演が、日本の各地で始まっている。
 民音の交流は、今や、海外100カ国・地域に広がった。
 いつもいつも、陰で支えてくださっている、尊き民音推進委員の皆様方に、この席をお借りして、心から御礼を申し上げたい(大拍手)。
 一、ところで、パブロワは、「踊り」について、興味深いことを指摘している。
 「リズムは生命の根源ともいうべきものであり、まさしく、宇宙そのものをつかさどる鍵なのです」
 「偉大な生命を謳歌するあの宇宙のリズム、それと自分との合体です。踊りは私の生命、人生です」
 一流の目は鋭い。
 私たちが日々唱える妙法は、宇宙の根本の法であり、生命の真髄のリズムである。
 あの大音楽家メニューイン氏をはじめ、私がお会いした多くの知性も、妙法の音律に深く注目されていた。
 このリズムに則り、妙法のために戦うことは、最高の「歓喜の舞」なのである。
 ともあれ、きょうという日は、二度と来ない。
 皆が「勇気の歌」を響かせながら、わが使命の舞台で、「希望の舞」「幸福の舞」「勝利の舞」を、晴れやかに舞いゆくことを願ってやまない。

 梅の花のごとく

 一、ローマの哲学者キケロの言葉は味わい深い。
 「幸いのきわみを尽くす者とは、ひとえに自分だけを恃んでいる者のことです」(水野有庸訳「ストア派パラドックス」、『世界の名書13』所収、中央公論新社
 運命を切り開くのは自分だ。戸田先生は「自分自身に生きよ!」と言われた。幸福の泉は、わが胸中にある。

 厳寒に
  勝ち誇りたる
    梅の花

 勝つための人生だ。
 勝つための仏法だ。
 仲良く、朗らかに、声を出し合い、声をかけ合いながら、皆が健康第一で、自分自身の勝利へ向かって前進することを決意し合い、記念のスピーチとしたい。
 どうか風邪など、ひかれませんように!
 お元気で!(大拍手)
 (2009・2・18)

婦人部・女子部最高協議会での名誉会長のスピーチ 下〔完〕



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