小説「新・人間革命」  3月14日 潮流41

 「ゴールデン・ハワイアン・ナイトショー」では、ハワイ・コンベンションのテーマソングである「遥か二百年の未来に」(注)が発表された。

ハワイ・コンベンションは、アメリカ二百年前年祭記念行事であり、メンバーは建国の理想を、さらに二百年後の未来に継承していく誓いを、この歌に託したのだ。

  

  我々はどこにいるだろう  遥か二百年の未来に  どんな光景が待っているのだろうか

  トマス、ジョン、ベン  誇り高き建国の父たちが  皆 見守っている

  不可能に見えようとも  さあ 皆で誓い合おう



 コンベンションの企画を担当したスタッフたちは、語り合ってきた。

「二百年の昔に建国の先駆者たちが、追い求めてきた人間共和の理想は、今や危機に瀕しているのではないか。人びとの精神は荒廃し、夢も色あせた時代になってしまった」

「だからこそ、生命の確かな哲理をもった私たちが、その理想を、現実のものとしていかなければならない。再び、はるか二百年の未来をめざして立ち上がろう。

人間と人間の心を結び、幸せと平和の道を切り開いていくことこそ、私たちの使命だ」

 その思いを表現したテーマソングに、共感は大きく広がった。歌い終わると、大拍手と歓声が、いつまでも鳴りやまなかった。

 社会のかかえる大テーマを、自らの課題ととらえ、仏法者の立場から、解決のための挑戦と努力を開始していくところに、日蓮仏法の精神がある。

だから大聖人は、「立正安国論」をもって国主を諫暁し、苦悩する民衆の救済に立ち上がったのだ。

  山本伸一もまた、その精神を受け継ぎ、立正安国のための戦いを起こしてきた。アメリカの友も今、彼と同じ心で、社会の建設に立ち上がったのだ。



引用文献



 注 「遥か二百年の未来に」の歌詞は、ブライアン・ポッター作詞「200 Years From Now」(英語)から。