小説「新・人間革命」  3月26日 潮流51

舞台では、各国の民族衣装に身を包んだメンバーが登場し、“世界の旅”が始まった。

 日本舞踊、コサックの踊り、スペインのフラメンコ……と、民族舞踊が次々と披露された。

それに合わせて、背景のパネルも、アメリカの自由の女神、インドのタージ・マハル、アフリカの大地など、世界各地の絵が描き出されていった。

 海面には、直径三メートル余りの、五つの大きな桜の花が浮かんでいた。舞台から現れた人たちが、花を取り囲んだ。ハワイの女子部二百人による、水中バレエである。

 彼女たちは、数カ月前から、ワイキキにある海水プールを使って練習を始めた。

 水中バレエの経験者など、皆無であった。それどころか、全く水泳のできない人もいた。そのため、練習は、まず、水に浮くことや、泳ぎのイロハを教えることから始めなければならなかった。

 また、多少、泳ぎができても、水中バレエとなると、勝手が違った。

 それを、わずか数カ月で仕上げるというのは、まさに不可能への挑戦であった。

 練習は週末に行われていたが、コンベンションが迫ると、毎日行われるようになった。メンバーは、学校や仕事を終えると、バスなどに乗って、急いで練習に駆けつけた。

 練習に、片道二時間かけて通ったメンバーもいた。練習では、ミジンコや日焼けにも悩まされた。毎日が試練への挑戦であった。

 しかし今、水の中を自在に舞う、彼女たちの顔は皆、晴れやかであった。“私たちは勝った!”“困難の壁を破った!”“自分自身を大きく変えることができた!”との喜びがみなぎっていた。

創価学会の一切の活動は、人間革命への飛躍台といってよい。

 弱い自分、怠惰な自分、途中で物事を投げ出してしまう自分、困難を避けようとする自分……。そうした自分自身に挑み、勝つための舞台として、学会の活動があるのだ。

 そして、その体験が、自らの生命を磨き、鍛え、強くするのである。