小説「新・人間革命」  8月31日 命宝53

信仰とは、希望である。常に、新しき心で、新しき明日に向かい、さらに、新しき前進を開始する力である。

 命に及ぶ数々の大難をものともせず、「然どもいまだこりず候」(御書一〇五六ページ)と、新しき戦いを起こされた日蓮大聖人の大精神こそが、「創価の心」である。そして、そこに、人生の幸福への大道がある。

 山本伸一は、呉の同志に呼びかけた。

 「私たちの人生には、何が待ち受けているか、わかりません。また、広宣流布の道は、波瀾万丈です。しかし、どんな時にも、めげず、挫けず、悠々と、前へ、前へと進んでいくんです。

日々、新しき挑戦です。新しき出発です。それが、真の信仰者です。

 どうか、ここにいらっしゃる皆さんは、全員が、いつまでも明るく、若々しく、百歳以上、生きてくださいね」

 「はい!」という、明るい返事が響いた。

 伸一は、しみじみとした口調で言った。

 「本当は、もっと、ゆっくりと、お一人お一人とお会いしたいが、時間がとれなくて申し訳ありません。

 一日は二十四時間しかありませんが、私の場合、八十時間から九十時間はないと、足りないんですよ。一年も三百六十五日ですが、千日ぐらいは必要なんです。全世界が相手なものですから。

 でも、私は、皆さんを守るために、全力で戦います。

 壮年部の方々は、どんなに辛いことがあっても、一家一族を、わが組織を、絶対に守り抜くという、鋼のような強い柱になってください。また、奥さん方は、ご主人を大切に。

 それから、ご高齢の方は“これでよし、自分は、何も悔いはない”と胸を張って言える、見事な人生の最終章を飾ってください。

 そして、皆で力を合わせ、世界一明るく、仲の良い、功徳に満ち満ちた呉創価学会をつくっていこうではありませんか!」

 また、「はい!」と、元気な声が弾けた。

 明るさは強さであり、希望の輝きである。