人間世紀の光 No.208 創価一貫教育の大城上 2009-10-23

勇気で開け!君に勝利の使命あり
「何のため」忘れず 挑戦と向上の青春を

陸続と また陸続と 後継の 世界に広がる 栄光 君らよ

南米ボリビアを代表する師範学校ペレイラ学長は語ってくださった。
「子どもの幸福を第一に考える牧口常三郎初代会長の教育思想こそ、教育のあるべき姿です。現代の教育者は、創価教育学から学ばなければなりません!」
明年は、わが創価学会の創立八十周年。すなわち、その淵源である「創価教育学体系』の発刊から八十周年となる。これまで『創価教育学体系』は英語、スペイン語、イタリア語、ヒンディー語など十四言語に翻訳され、各国で大きな反響を呼んできた。
「人間を根本とする創価教育学は、二十一世紀の人類に最適の教育学理論である」とは、台湾・中国文化大学の劉焜輝教授の、深い大きな賛同の声である。
「教育の世紀」の希望を担い立って、海外には、アメリ創価大学(SUA)が建った。香港、シンガポール、マレーシア、ブラジル、韓国に、夢を育む幼児・児童教育のネットワークも完成した。創価教育を実践する学舎は、今や日本だけでなく地球規模の広がりをもっている。

教育は 人間世紀の 根本か 創価教育 恩師も賞讃


「教育ごそは、新しい世見を開く鍵である」と、イギリスの大哲学者ラッセルは洞察した。
自分自身の可能性を開くのも、未来という大海原を開くのも、未知の世界に挑む力を開くのも、みな教育である。
妙法の「妙」には「開」l開くという意義があり(御書九四三ページ)。
教育の真髄も、この「開く」力にあるといえまいか。
御聖訓には、「鳥の卵は初めは水のようなものにすぎないが、その中から誰が手を加えなくても、やがて、くちばしや目が出来上がってきて、ついには大空を飛ぶ鳥となる」(通解、同一四四三ページ)と仰せである。
一人ひとりの生命には、自分にしか発揮できない、大いなる才能や個性が厳然と具わっているのである。
その自らの可能性を最大に引き出し、社会のため、人類のために、尽くしゆく生き万を教えたのが仏法である。仏法そのものが、最高の教育法なのだ。
108人の大樹の誓い牧口先生は、「〃青は藍より出でて藍より青し〃。これが創価教育の特色なんだ」とも力説された。
この二十一日、修学旅行で東京を訪れていた、わが関西創価小学校の六年生(二十七期生)百八人から、元気いっぱいの便りが届けられた。
皆が暗唱するほど胸に刻んだ、尊い宣言文「大樹の誓い」や決意文集、また自分たちが育てた藍で染めた「扇」を、私と妻は微笑みながら嬉しく拝見した。
この大樹に伸びゆく子どもたちを育まれた、ご父母の皆様、教職員の方々に深く感謝申し上げたい。
どうか、「努力の人」に!「希望の人」に! そして「正義の人」に!
そこに、「出藍の誉れ」の勝利の人生が必ず開かれるのである。
ともあれ、創価教育は、仏法の人間主義の思想を根底にして、弟子が師匠を子が親を、学生が教師を、後輩が先輩を超えて、人類の未来に貢献する人材を次々と育み、送り出していくのだ。
この創価教育の特質を、ここでは、三つの「育成」ー「可能性の育成」「心の育成」「世界市民の育成」という次元から考えてみたい。

生き生きと 価値ある人生 勝ち取らむ 英知の博士の 輝く瞳よ

第一には、一人ひとりの「可能性」を大きく開き、子どもたち自ら幸福をつかんでいくことである。
自らの可能性を開くことは、自分だけではない、自他共の幸福と勝利を開いていく土台となるものだ。
なぜなら、自己の生命の可能性を信じられなければ、本当に他人を思いやる心は持てない。
「どうせ自分は駄目だ」と思っていて、どうして他者を励ませるだろうか。
生命の持つ可能性を開いて、自分に勝っていくことが、「皆が勝利する世界」を築く出発点になるのだ。
偉大なる行動は、偉大なる「誓願」から始まる。
日蓮大聖人は十二歳で修学の道に入り、「日本第一の智者となし給へ」(同八八八ページ)と誓いを立てられた。そして、その誓願通りに、民衆と社会を救う智者となり、一切衆生の苦悩を救済しゆく大法を究められた。
これが日蓮仏法の起点である。
人間教育の次元においても、誓願に限界はない。誓願そのものが「無限の可能性の卵」といってもよい。
だからこそ、私は、一人ひとりの持つ「可能性の育成」のため、若き友に「何らかの分野で一番を目指そう」「十年一剣を磨け」と呼びかけてきた。
大きな目標を立て、それぞれの道で最高峰を目指して努力を重ねていく。
その苦労のなかでこそ、自らの秘められた可能性が解き放たれていくからだ。
それは、他人と比較してどうかではない。昨日より今日、今日より明日へと、向上していくことである。
学園生、創大生たちは、私の思いを受けて、日々、自分自身に挑戦しながら、美事なる日本一の伝統を築き上げてくれた。
東京校の創価雄弁会は、全国ディベート甲子園で、中高で合わせて十度の日本一になった。「国際化学オリンピック」「国際哲学オリンピアード」などでも、東西両校の高校生が日本代表として大活躍している。
本年は、関西校の高校筝曲部が文化庁長官賞を受賞し、高校ダンス部は、三度目となる日本一の栄冠を手にした。
創価大学では、今年、経済理論同好会が、経済学検定試験の第十一回「大学対抗戦」で堂々の四連覇を達成した。柔道部も、パイオニア吹奏楽団も、そして落語研究会等もこれまで、日本一に輝いている。
明年、開学ニ十五周年を迎える創価女子短期大学も、資格試験に強いという伝統を築き上げてくれた。
英語能力試験、秘書技能やビジネス文書技能の検定でも最優秀の成績を収めている。先日も、学生エッセイコンテストで「日本一」の嬉しい報告を届けてくれた。

何のため 忘れず 君よ学びゆけ 偉大な人生 輝くばかりに

第二の「心の育成」を願って、私は知性と磨く意義、つまり「何のため」に学ぶかという一点を強調してきた。
創価大学の開学に際して私が贈った一対のブロンズ像の台座には、こう刻んである。
「英知を磨くは何のため 君よそれを忘るるな」
「労苦と使命の中にのみ 、人生の価値は生まれる」
フランスの高名な彫刻家アレクサンドル・ファルギエールの力作の像は、向かって左側が若き希望の印刷工であり、右側が熟練の信念の鍛冶工である。
苦闘のなかで使命を開く学徒の英姿とも、創価教育を支え護り、期待してくださる方々の象徴とも思い、私は像を仰ぎ見てきた。
陰で苦労している人の思いを知らなければ、世界の民衆のために尽くしていくことはできない。
「大学は大学に行けなかった人のためにある」と、私が訴えてきたのも、そのためである。

(㊦は明日付に掲載)

ラッセルの言葉は『教育論』安藤貞雄訳(岩波書店)。