小説「新・人間革命」  12月29日 未来35

 札幌創価幼稚園では、一九七七年(昭和五十二年)の三月に第一回の卒園式が、四月には第二回の入園式が行われた。しかし、山本伸一は、どうしても出席することができず、万感の思いを込めて、メッセージを送った。

 この年には、クラスを増設し、年少二クラス、年長四クラスの六クラスとなった。

 伸一は、子どもたちに会うため、九月に、幼稚園を訪問し、誕生会に出席した。

 開園三年目の、七八年(同五十三年)四月の入園式にも、彼はメッセージを送った。

 そのなかで伸一は、園児たちに、「三つの約束」をしようと呼びかけた。

   

 一、自分のことは自分でしましょう

 一、お友だちと仲よくしましょう

 一、明るく元気にあいさつしましょう

   

 この年度から、札幌創価幼稚園では、さらに、年少二クラス、年長六クラスとなり、開園時の倍となる八クラスに発展したのだ。

 伸一は、この七八年の六月八日から二十三日まで、北海道に滞在し、十二日には、教職員と札幌市内で懇談した。そして、二十日に、幼稚園を訪問したのである。

 四度目となるこの訪問で、伸一は、園児と記念撮影した。

 伸一が近づくと、子どもたちは握手をしようと、もみじのような手を伸ばしてくる。

 「ありがとう! 元気でね!」

 伸一は、一人ひとりに声をかけながら、その手を握り締めていった。

 記念撮影の終了後には、園児から伸一に花束が贈られた。

 引き続き、伸一と園児の手で、園歌の銘板の除幕式が行われ、皆で園歌を合唱した。さらに、園児たちは、「三つの約束」を、声高らかに唱和した。毎日、あいさつのあとに、これを行っているという。

 約束は、成長の種子である。約束したことを果たそうと心に決めて、日々、努力していくなかに、人間は成長を遂げていくのだ。