小説「新・人間革命」人材城 52 2012年6月9日

熊本の県幹部は、目を輝かせながら、山本伸一の話に聞き入っていた。
問題は、多種多様な個性をもつ人材が集まると、ともすれば、個性と個性がぶつかり合い、団結できなくなりがちだということです。では、どうすればよいのか。
そこで、『異体同心』の『同心』ということが大事になるんです。『同心』とは、同じ目的に生きようとする心です。
私たちの立場でいえば、広宣流布という崇高な大目的に生き抜く心です。
大聖人は、『浅きを去って深きに就くは丈夫の心なり』(御書三一〇p)の文を引かれている。深きに就くことが大切なんです。
皆が、自分の面目や、名聞名利など、小さな『我』に執着する心を打ち破り、広宣流布の大願に立つならば、最強の団結が生まれます。
それによって、自分のもつ最強の力を発揮できるんです。一滴の水では、木の葉も穿つことはできない。
しかし、海に連なれば、大波となって寄せ返し、岩をも削ることができるではありませんか。
学会の組織にあって、?広宣流布のために団結しよう??団結できる自分になろう?と
懸命に唱題し、努力を重ねていくなかに、自身の人間革命もあるんです。
反対に、互いに怨嫉し合い、足を引っ張り合うようなことがあれば、それは広宣流布を破壊する魔の働きになってしまう」
伸一の声に、力がこもった。
「また、リーダーは、皆が伸び伸びと力を発揮していけるように、大きく包み込んでいってください。
力がないリーダーというのは、自分の意向に添わない人がいると、すぐに『あの人は駄目だ』とレッテルを貼ってしまう傾向がある。
それでは、人材は育ちません。自らの成長があってこそ、人材は育つんです。
教えるべきことは、忍耐強く教え、意思の疎通を図りながら、仲良く前進していくことです。仲が良いということが、人材が育っていく土壌なんです」