2013年 新年メッセージ SGIグラフ

2013年 新年メッセージ SGIグラフ

世界を包め 異体同心の連帯で

創価学会インタナショナル会長  池田大作

 平和と幸福の連帯を大きく広げゆく、我らの「青年学会勝利の年」が晴れ晴れと開幕しました。
 新たな1年も、わが誉れの同志の皆様、わが尊き友人の皆様が、ますます健康で生き生きと、人生の「栄光」と「勝利」の扉を聞いていかれることを、私は願ってやみません。
 宇宙の根源の法である妙法は、受持する人の生命を最高に輝かせ、そして、その天地の可能性をも最大に引き出し、発揮させていくカであります。
 まさしく、世界192カ国・地域の創価学会インタナショナル(SGI)の同志の皆様方こそ、その地その地のかけがえのない、「宝の人」なのであります。
 皆様方が友情と信頼を結ばれる、それぞれの国土が、いやまして、「安穏」と「繁栄」に包まれゆくことを、私は心からお祈り申しょげます。

 創価の父であられる牧ロ常三郎先生、戸田城聖先生が、共に大事になされた法華経神力品の一節があります。それは、「地涌の菩薩」の使命が謳い上げられた経文であります。
 「日月の光明の 能く諸の幽冥(ゆうみょう)を除くが如く 斯の人は世間に行じて 能く衆生の闇を滅し」 (太陽と月の光明が、もろもろの闇を除くことができるように、この人は世間の中で行動して、衆生の闇を滅することができる)

 人々が苦しみ悩む世間を避けて、一人、安閑(あんかん)と悟りすました菩薩などいません。
 泥沼の如き現実社会から離れて、どこか彼方にユートピアを求める菩薩もいません。
 あくまでも、苦悩渦巻く、この婆婆世界の真っ只中で、民衆のために、民衆と共に、一人一人の生命を照らし、混迷の闇を打ち破っていくのです。
 この大乗仏教の菩薩の精神を実践しているSGIに、世界の多くの知性が深い共感を寄せてくださっております。

 私が共に対談集を発刊した、アメリカ実践哲学協会の会長であられるマリノフ博士も、その一人です。
 博士は、理性のみが重視され、宗教性・精神性が排除されている近代の世俗的ヒューマニズムの問題に触れ、こう強調されていました。

「頭の中だけで考えていては、人々に手を差し伸べようとする心は働かないのです。
 精神性の発露としての、心のこもった行動が大切なのです」と。

 日蓮仏法の魂は行動です。自身の悩みも人を励ます慈悲と智恵に変え、宿命さえも使命に転じながら、最も難しく、最も根本的な「人間革命」を自他共に成し遂げていく宗教なのです。
 だからこそ、徹して一人一人を大切にします。一対一の対話、少人数の会合での仏法の研鎖や励まし合いを大事にします。その中で、人種、民族、性別、世代などの差異を超えた平等な共同体を作り上げています。
 そこに、マリノフ博士は、「哲学の実践の真髄」を見てくださっております。
「人と人とが向き合い、心を通わせる対話こそが、あらゆる差異を超えた人々の信頼を結び、啓発し合うためのカとなるからです」 と。

 生命尊厳の仏法を基調とする私たちの「平和」と「文化」と「教育」の大運動の日々の実践が、新しいヒューマニズムとして、これからの世界をリードする大いなる光を帯びていることを、あらためて誇りとしたい。喜び勇んで、広宣流布の対話に邁進していきたいのであります。

 60年前(1953年)、わが師・戸田先生は、第1回の青年部総会で、「世界に対する第1回の発言」と意義づけ、講演をなされました。
「青年の意気と力は、じつに世界の歴史を変えていくのです」
「人聞を幸福にするには、どうしたらよいかを探究した、生命哲学の最高峰の大哲理がある。これを、生活にどう活用して、いかに宿命を打開するか、それが御本尊である」
 そして、この生命哲学を抱いた創価の青年こそ、『世界的指導者」なりと、高らかに宣言してくださったのであります。
 いうなれば、世界の「青年学会」への出発でありました。
 とはいえ、当時は、いまだ小さな学会でした。戸田先生が願業と掲げられた75万世帯の達成へは、大いなる飛躍が不可欠でありました。

 25歳の私は、世界広宣流布まで展望された戸田先生の壮大な構想を実現するために、男子部の第1部隊長、また文京支部支部長代理として、青年部においても、支部においても、組織の最前線に躍り出ました。自らの病弱な身体とも闘いながら、青年学会の拡大と前進へ、懸命に陣頭指揮を執ったのです。
 私は、けなげな友に、もっともっと、「自信」を、「元気」を、「歓喜」を送ろうと、祈り、走り、出会い、語り、励まし続けました。
 後輩を大事にしよう、自分よりも偉くしていこうと一念を定め、悩める同志には「今は一番悪くても良いではないか。最後に勝てば良いのだ。やればできる。思う存分やろう」と呼びかけました。

 一人一人を誠実に励ますために、幹部がいる。
 一人一人が胸を張って苦難に立ち向かい、自身の限界を突破して、勝利の人生を聞いていく。そのために先輩がいる。リーダーがいる。

 私は、ニ人、三人と、師匠の広宣流布の大願に立ち上がる地涌の同志を増やしながら、共々に御書を拝し、研鎖していきました。
 さらに、「法華経の功徳はほむれば弥(いよいよ)功徳まさるJ (御書1242ページ ) と仰せのままに、私たちは、功徳の体験を大いに語り合い、互いに讃え合って、異体同心の団結を深めていったのです。

 この喜びの波動の中で、わが第1部隊は、1年間で3 倍というスクラムを築き上げました。また、それまで低迷していた文京支部も堂々と模範の大前進を果たしていきました。
 戸田先生は、それはそれは喜んでくださいました。この一つの突破口から、新たな学会全体の上げ潮の勢い が生まれていったからです。

 大聖人は仰せになられました。
日蓮が一類は異体同心なれば人人すくなく候へども大事を成じて・一定法華経ひろまりなんと覚へ候、悪は多けれどもー善にかつ事なし」 (同1463ページ )

 ここに、私たちSGI の永遠の指針があります。私の胸には、昨秋、全SGI の代表としてお会いしたアフリカの青年リーダーたちの歓呼の声が轟いて離れることはありません。
「イタイドウシン(異体同心)!」そして
「ビクトワール(勝利)!」と。
 私たちは、一段と強く広く、この「異体同心という究極の人間共和の連帯で、地域社会にも、さらには地球社会にも 、いよいよ希望の大光を送っていこうではありませんか!

「青年学会勝利の年」一一皆が、若々しい青年の心で勇猛精進して、広布と人生の勝利の旗を共々に断固として掲げゆくことを決意し合って、私のメッセージとさせていただきます。

2013年 元旦
(グラフSGI2013年 1月号)