小説「新・人間革命」 奮迅 26 2013年6月5日
山本伸一の言葉に力がこもった。
「信心をしていくうえで大事なのは、『現当二世』を見すえていくことです。
『現』というのは『現在』『現世』であり、『当』というのは『未来』『来世』を言います。
過去に縛られるのではなく、今現在を大切にし、未来に向かって生きていくことが大事です。
それが仏法者の生き方です。
したがって、過去の実績を誇り、昔の栄光に酔っているのではなく、『今、どうしているのか』『未来のために何をしているのか』が大事になるんです。
信心は一生です。 人生も一生を見なければわからない。
久遠の使命を果たすために、この世に生を受けた私たちです。
最後まで広宣流布という、わが使命に生き抜いたといえる、勝利の生涯を送ろうではありませんか!」
「はい!」という、決意のこもった声が、はね返ってきた。
伸一は、さらに、強い語調で訴えた。
「信心といっても、観念ではない。法華経にも『諸法実相』とあるように、妙法という実相は、諸法すなわち社会のすべての現象として現れる。
つまり、現実のうえで何をしたか、何をするかなんです。
戸田先生は、創価学会は『仏意仏勅の団体』であると言われた。
事実、学会は、日蓮大聖人の仰せのままに、日本中に仏法を説き聞かせ、幾百万の人が信心をしました。
また、世界に大聖人の仏法を流布してきました。
そして、多くの同志が大功徳に浴し、不幸を乗り越え、歓喜の人生を歩んできました。
こうした事実は、創価学会が正しく仏法を実践してきた証明であり、私どもの実践が、大聖人の御本意に適った厳然たる証拠であると確信するものであります。
限りある一生です。
一人の人間として、誉れある草創の勇者として、実際に何をするか、いかなる歴史を残すかなんです」