正義 47 2014年 2月26日

「母親の愛は優しく、穏やかで、温かみがあり、寛容でありますが、また同時に最も厳正であり、強烈であり、防護であり、正義感に富んでいるのです」(注1)
──これは、二十世紀の中国を代表する女性作家・謝冰心が母について記した言葉である。
それは、創価の婦人部の特質でもあった。
三重の婦人たちは、実感していた。
「どうして、師匠を敬愛する心を隠さなければならないのか! どこかおかしい」
結局、婦人たちの主張が実り、「今日も元気で」は、三重県文化合唱祭で歌われることになったのである。
山本伸一は、力強い声で言った。
「婦人部の合唱を楽しみにしています」
県婦人部長の平畑康江の顔に、瞬く間に笑みが広がった。
その目は涙に潤んでいた。
彼女は、すぐに総合リハーサルを行っている会場に電話を入れた。婦人部の出演者に、いっときも早く伝えたかったのである。
リハーサル会場で、「今日も元気で」を合唱できるようになったことが発表されると、大歓声と大拍手が響き渡った。ハンカチで涙を拭う婦人もいた。
学会の根幹を成すのは、崇高な師弟の精神である。
それは、いかに批判されようが、時代がどんなに変わろうが、絶対に変わってはならない「創価の魂」である。広宣流布の大潮流も、この師弟という生命の脈動から生まれるのである。
戸田城聖は、青年時代から牧口常三郎を師と仰ぎ、いっさいを守り支えてきた。それゆえに、軍部政府の弾圧で、共に逮捕・投獄された。
そして、自分だけでなく、一家もまた、近隣から「国賊の家」と罵られた。
その戸田は、牧口の三回忌法要の席で、感慨を込めて、こう語っている。
「あなたの慈悲の広大無辺は、わたくしを牢獄まで連れていってくださいました」(注2)
これが、広宣流布という大使命に生きる「師弟の絆」である。
そこには、大難をも大歓喜へと変えゆく、高貴なる「魂の力」がある。