正義 62 2014年3月15日

露崎アキは、山本伸一からの伝言と見舞いの品に、跳び上がらんばかりに驚き、喜んだ。
「こんな病魔になんか、負けとれん! 一日も早う元気になって広宣流布のために、そこら中、歩き回らな! 山本先生にお応えせなあかん!」
彼女の病状は、健康に向かっていった。
そして、ほどなく退院し、伸一の激励から九日後の五月三日には、津市の三重文化会館(現在の津文化会館)で波多光子と共に、第二回「広布功労賞」を受賞している。
伸一は、三沢宅に集った一人ひとりに視線を注いだ。
彼は、皆が「学会の宝」であり、御本仏から、この世に召し出された「使命の人」であると、しみじみと思った。
「皆さんの奮闘があってこその、広宣流布です。
広布の使命をもって生まれてきた皆さんは、もともと仏の子であり、地涌の菩薩なんです。
だから、これから先、どんな試練が待ち受けていようが、勝てないわけがありません。
幸福になれないわけがありません。何があっても、この確信だけは忘れないでください。
私たちは、広宣流布に生き抜こうと心を定め、自行化他にわたる信心を実践していくなかで、仏の生命を、地涌の菩薩の生命を涌現させていくことができるんです。
そして、それによってわが生命が変革され、宿命の嵐に敢然と挑み勝つ力が湧き、毒を薬となし、苦を楽と開いていくことができるんです。
大聖人から、わが地域の広宣流布を託された皆さんです。
皆さんが語った分だけ、仏縁が、仏法への理解が広がっていきます。
皆さんが歩いた分だけ、広宣流布の道を開くことができます。
皆さんが汗を、涙を流し、弘教の旗を打ち立てた分だけ、幸福の宝城が築かれます。
どうか、この白山町の、三重県広宣流布を、よろしくお願いします」
彼は、仏を敬うように、深く頭を垂れた。