正義 64 2014年3月18日

支部婦人部長の多喜川睦は、さきほどまで山本伸一が訪れていた三沢宅にいた。
彼女も三沢宅での〝座談会〟に参加しており、終了後も、皆で伸一の指導を確認し合い、決意を語り合っていた。
そこに、一本の電話が入った。伸一に同行していた県の幹部からであった。
「多喜川さんの家に、山本先生がいらしています。すぐに戻ってください!」
多喜川は、驚きのあまり、受話器を持つ手が震えた。
彼女が自宅に到着したのは、義母と娘が、伸一と一緒に勤行している最中であった。
勤行が終わるや、多喜川は伸一に言った。
「今日は、わざわざおいでいただき、ありがとうございました」
「すばらしい家ですね。近代的で、時代の先端を行く流行作家の家のようですね。
今日は、突然ですが、一言、支部婦人部長さんに御礼を言おうと思っておじゃまし、新築記念の勤行をさせていただきました。
これから、すぐに三重文化会館へ向かうので、ゆっくりお話しすることはできませんが、いつも、お題目を送り続けます。
どうか、くれぐれもお体を大切にしてください」
多喜川の家をあとにした伸一は、車中、県の幹部に語った。
「幹部は、寸暇を惜しんで、皆の激励に回ることです。〝もう一軒、もう一軒〟と、力を振り絞るようにして、黙々と個人指導を重ねていくんです。
それが、幸せの花を咲かせ、組織を強化し、盤石な創価城を築くことになります。
ほかに何か、特別な方法があるのではないかと考えるのは間違いです。
作物をつくるには、鍬や鋤で丹念に土地を耕さなければならない。
同様に、何度も何度も、粘り強く、個人指導を重ねてこそ、人材の大地が耕されていくんです」
皆が広布の主役である。ゆえに、一人ひとりにスポットライトを当てるのだ。友の心を鼓舞する、励ましの対話を重ねていくのだ。