【第22回】 夢のつばさを広げよう! (2014.2.1)

 きびしい寒さが続いています。みんな、風邪などひいていないかな。
 私は、小さいころ、体が弱くて苦労したから、みなさんが健康で、じょうぶに育ってくれるように、毎日毎日、真剣に祈っています。
 まもなく2月11日。私の人生の師匠・戸田城聖先生のお誕生日です。寒い北国の石川県に生まれ、北海道で育った戸田先生は、「冬にきたえよう!」と言われていました。少年少女を、「冬は、引っこみ思案になって過ごす時ではない。きりっとした、身のしまるような気候の中で、春にそなえて活力をたくわえる時である」とはげまされたこともあります。
 進級や卒業の時を迎える春は、もうすぐそこまで来ています。どうか、寒さに負けず、一日一日を元気いっぱいに楽しく前進していってください。
 今月は、ロシアのソチで冬のオリンピックが開幕します。6月には、ブラジルでサッカーのワールドカップもはじまります。
 さらに6年後の2020年には、オリンピック・パラリンピックが、東京で開かれます。信濃町創価学会の総本部のすぐ側に新・国立競技場が築かれ、中心の会場になります。今の未来部のみなさんの中からも、きっと出場する人が出るでしょう。
 大好きなスポーツの道で、世界の大舞台へ躍り出ることを夢見て、チャレンジしている友もいると思います。
 「夢」は希望です。「夢」は力です。
 現在のオリンピック(近代オリンピック)も、古代のギリシャで行われていたスポーツの祭典を復活させたいという「夢」から生まれたものです。
 「夢」が未来を開いてきたのです。
    
 みなさんは、人類で最初に宇宙飛行の夢をかなえた人はだれか、知っていますか?
 そう、1961年、宇宙船ボストーク1号から「地球は青かった」という有名な言葉を発した、ロシアのガガーリンです。
 日本を訪れた時、子どもたちにも、宇宙から見た地球は「やわらかい大風船のような感じでした。青い光にかこまれて、ほんとにきれいでした」と語り、大宇宙への夢を広げてくれました。
 このガガーリンが大空へのあこがれをいだいたのも、みなさんと同じ小学生の時です。飛行機のパイロットとの出会いから、夢をふくらませていったのです。
 しかし、夢の実現は、遠く、けわしい道のりでした。家がまずしかったので、働きながら夜の学校に通い、また図書館から本を借りて、学び続けたのです。
 苦労の連続でも、心は楽しく、はずんでいました。
 いつの日か、空を飛んでみせる──その大きな夢を忘れなかったからです。自分で自分にきっと夢はかなえられると言い聞かせて、はげましていたのです。
 戸田先生は、夢は「大きすぎるくらいで、ちょうどよい」と言われました。なぜか? はじめから小さな夢では、何もできないで終わってしまうからです。
 未来の「夢」と、今の自分を比べてみると、まるで地球と宇宙の果てまでぐらい、遠くはなれていると思えることがあるかもしれません。
 でも、みなさんは、すごいロケットをもっています。「努力」という生命のロケットです。このロケットが、夢へ向かって、みなさんを運んでくれるのです。
 毎日の学校の勉強も、全部が、この「努力ロケット」の燃料になります。
 ガガーリンが、学校の先生から教わって大切にした信念があります。それは「成功は勇気のある人間にあたえられる」でした。
 夢をかなえるためには、「勇気」をもつことです。「やってみよう」と思って、挑戦の一歩をふみ出す勇気です。
 そして、思うようにいかないことが立ちはだかっても、へこたれず、あきらめず、努力をつらぬいていく勇気が、勝利の道を開くのです。
    
 私も、子どものころから、いっぱい夢がありました。
 一つは、本を読むこと、文を書くことが好きだったので、新聞記者になりたい。さらに、みんなに勇気と希望をおくる物語を書き残したいと思いました。
 また、暗い戦争の時代だったので、日本中の駅に桜の木を植え、花を咲かせて、みんなの心を明るく晴れやかにしたいという夢もありました。
 戸田先生とお会いして仏法にめぐりあったのは、19歳の時です。
 戦争を起こした権力と勇敢に戦いぬいてきた戸田先生には、大きな大きな夢がありました。それは、「この世から、一切の不幸と悲しみをなくす」。そして「世界中の人に幸せをもたらし、平和をつくる」こと。すなわち、広宣流布という夢です。
 そのすばらしい夢を、私は大好きになりました。
 いつしか、先生と同じ「夢」を実現することが、自分の夢になっていったのです。
 この広宣流布という何よりも大きな夢をめざして、けんめいに努力し、題目を唱えていく中で、ふしぎなことに、子どもの時の夢も、一つ一つかなえていくことができました。
 「新聞記者」の夢は「聖教新聞」を発行することで──。
 「物語」の夢は小説『人間革命』 『新・人間革命』を執筆することで──。
 そして「桜」の夢は、日本と世界の各地への「桜の植樹」となって実りました。
 たとえ、夢がすぐに実現しなくても、祈って努力したことが、あとになって、必ず生きてくるのが、題目の力なのです。
    
 子どもたちの幸福のための学校をつくることも、戸田先生の大きな夢でした。それは、戸田先生が、師匠の牧口常三郎先生から受け継がれた夢でもありました。そして「私の時にできなければ、大作、頼むぞ」と、私に夢のバトンを託されたのです。
 その夢をかかげて創立したのが、創価学園創価大学創価女子短期大学、そしてアメリ創価大学です。創価幼稚園も、札幌をはじめ世界の各地に誕生しています。
 創価の「平和」と「文化」と「教育」の連帯を、世界192カ国・地域に開いてきました。
 牧口先生・戸田先生の夢を、一つ一つ、みなさんのおじいさんやおばあさん、お父さんやお母さん方と実現してきたのです。
 師匠と弟子の一体の夢を見つめて、私はここまで元気に挑戦を続けてきました。
 これからは、みなさんが思いきり夢を実現してくれることが、私の一番の夢です。
    
 みなさんには、自分にしかできない夢が必ずあります。今は見つからなくても、目の前の課題に真剣に取り組んでいけば、自分が本当にやりたいと思うことが、必ず見つかります。
 未来には、君が、あなたが、思う存分、活躍できる使命の舞台が待っています。
 みなさんの中から、偉大な教育者も科学者も文豪も、大政治家も大実業家も、大スポーツ選手も大芸術家も、ありとあらゆる分野の力ある人材が育っていくでしょう。そう思うと、私の胸は躍ります。
 どうか、大きな心で、大きな夢を広げてください。前に進む限り、夢の世界は無限に広がります。
 さあ、自分にしかない「夢のつばさ」を大きく広げて、希望の大空へ飛び立とう!