小説「新・人間革命」 激闘30

激闘30

 山本伸一の言葉には、確信と情熱がほとばしっていた。
 「広宣流布の組織のなかで、自行化他(じぎょうけた)の実践を貫(つらぬ)き通してこそ、一生成仏も、宿命の転換も可能になるんです。だからこそ、大聖人は『日蓮が一門となりとをし給うべし』(御書1360ページ)と仰せになっているんです。
 一門というのは、人と人との連帯です。組織です。そのなかで、共にスクラムを組み、異体同心の団結で進み抜いていきなさいと、大聖人は言われているんです。なぜなら、そこにしか、広宣流布の大前進も、自身の大成長もないからです。

 人間は、ともすれば、”一人の方が自由気ままでいいな”と思いがちです。しかし、広宣流布は、多彩な人材が心を一つにして、互いに切磋琢磨(せっさたくま)し合っていくことによって、成し遂げることができるんです。スポーツでいえば、野球やサッカーのように、チームプレーが大切な戦いなんです。

 戸田先生は、学会を『仏意仏勅(ぶついぶっちょく)の団体』と言われ、『創価学会仏』とさえ表現された。広宣流布をわが使命とし、異体同心のスクラムを組むなかで、創価学会仏の一員となり、崩れざる幸福を築くことができるんです。
 どうか、皆さんは、この尊い学会から、生涯、離れることなく、人間革命の大道を、誇らかに歩み抜いていってください」

 死身弘法(ししんぐほう)の実践をもって、日蓮大聖人の正法正義を守り抜いてきた創価学会である。大聖人の仰せ通りに、世界広宣流布を推進してきたわれらである。
 その学会を離れて、真実の仏法の実践はない。功徳爛漫(くどくらんまん)の人生も、境涯革命も、一生成仏もない──それが、伸一の断固たる確信であった。

 彼は、春季研修会に参加したメンバーに、こう語って指導を終えた。
 「明日の研修会も、御書を研鑽(けんさん)しましょう。学会は、どこまでも御書根本です。御書に照らし、信心の眼で一切を見ていくならば、何も恐れるものなどありません」

(2014年 4月25日付 聖教新聞