激闘48  2014年5月17日

宮中直子は、悩んでいた。
 「主人は、学会のことは何も知らないのに、信心をするなと言うんです。困ったものです」
よく婦人部の先輩幹部に、そう愚痴をこぼした。すると、先輩は、「ご主人のせいにしてはだめよ。
悩みの本当の原因は、すべて自分にあるのよ」と指導してくれた。
しかし、直子は、納得しかねた。「悪いのは主人だ!」と思い続けてきた。
ある時、彼女は、机の上に開かれたままになっていた夫・栄蔵の日記を、たまたま目にしてしまった。愕然とした。
そこには、妻の直子について、「離婚するか、信心をやめさせるしかない」と書いてあった。
その文字には、怒りが滲んでいた。しかも、離婚した時の慰謝料まで、詳細に計算し、書き記していたのだ。
衝撃だった。初めて事の重大さに気づいた。
「私は、とんでもない妻だったんだ……」 一つ一つ、自分の言動を振り返ってみた。 
確かに、夫が憤るように、主婦としても、妻としても、母としても、ことごとく自分は失格であったことに気づいた。
「学会では、信心即生活と指導している。
しかし、私は、信心と生活は、全く別のもののように考え、主婦業さえ怠ってきた。これでは、夫が信心に理解を示すわけがない」
深く反省せざるを得なかった。
「夫が信心をしないのは、誰のせいでもない。私が悪かったからだ。
私が自分に甘え、夫に甘え、本当の学会の指導、真実の仏法者の生き方を、実践していなかったからだ!」
文豪ロマン・ロランは記している。
「行動なしには、完全な、生きた、真の思想は決してありません!」(注=2面)
直子は、自身の人間革命を御本尊に誓い、真剣に唱題し始めた。
「自分の振る舞い、生き方を改めなくては信心しているとはいえない。
必ず、良い主婦になろう。良い妻になろう。良い母になろう。
私が変われば、きっと、夫も変わるはずだ。それが依正不二の原理ではないか!」