激闘49  2014年5月19日

宮中直子は、根は純粋であった。彼女は、学会の指導を実践し、良き主婦、良き妻、良き母をめざした。
その目覚ましい変化に、夫の栄蔵も目を見張った。そして彼は、信心への態度を改め、反対も次第に収まっていったのである。
また、利安真吉も、栄蔵のもとへ、仏法対話に通った。
利安の真面目で誠実な人柄に、栄蔵も信頼を寄せ、そして、一年後には、信心を始めたのである。
直子の入会から十六年、宮中夫妻は真面目に信心に励み、功徳爛漫の春を迎えていた。
山本伸一は、二人の話を聞くと、純粋な信心を貫くことの大切さを語っていった。
「宮中さんご夫妻を見ていて思うことは、清らかな生命で信心を貫いていくならば、その分、必ず大きな功徳、福運となって花開くということです。
反対に、一応、信心に励んでいるように見えても、慢心になって求道心もなくし、陰で先輩幹部や同志を批判したり、怨嫉したりする人もいます。
また、自意識が強く、自分が中心でないとやる気を失い、組織の第一線で地道に活動することを避けようとする人もいます。
でも、それは、わがままなんです。結局、自らの手で、功徳、福運を消してしまうことになってしまう。
お二人は、いつまでも、純粋な信心を、鹿児島の全同志に伝えていってください」
宮中一家との語らいが一段落した時、同行の幹部が伸一に告げた。
創価大学出身の青年部員が十数人、先生にお会いしたいと言って、鹿児島会館に集まって来ているそうです」
伸一は、宮中夫妻に、「その青年たちを、ここに招いてよろしいですか」と尋ねた。
栄蔵が、弾む声で答えた。
「どうぞ、お使いください」
ほどなく、創大の出身者たちが到着した。
「よく来たね。さあ、懇談しよう」
伸一は、満面に笑みを浮かべて言った。