求道61  2014年8月25日

別海指導最終日の十六日、昼前には、青空が広がった。気温も二二度を超えた。
北海道研修道場には、前夜に開催が決まった勤行会に参加するため、別海、中標津、標津、羅臼の友が、喜び勇んで集って来た。
山本伸一と会うのは、初めてという人がほとんどである。
役職がないために、幹部会等には参加したことのない壮年や青年、日ごろは留守を守っている年配者、幼子を連れた若い母親……。
どの顔にも笑みが光っていた。なかには、未入会の友人の姿もあった。
当初、予定していた研修道場での主要行事は、前日で終了していたため、ほんの一部の運営役員しか残っていなかった。
そこで、最高幹部が、受付や場内の整理を担当することになった。伸一は、最高幹部らに言った。
「さあ、合掌する思いで、仏子である皆さんをお迎えしよう。それが本来の姿だもの」
やがて、勤行会が始まった。勤行、幹部あいさつなどのあと、伸一は語った。
年配者には「長寿と悔いない充実した人生を」と念願。若い婦人部には「未来の宝である子どもさんを忍耐強く、立派に育てていってもらいたい」と望んだ。
青年部には「毎日、少しでも御書を読む習慣をつけ、強い信心と求道心
をもち、地域の立派なリーダーに」と指導。
壮年部には「地域社会の柱である自覚を忘れず、御本尊とともに生き抜き、信仰と生活力、強い生命力で、一家を守りきっていただきたい」と訴えた。
最後に、皆が研修道場を守り、尽力してくれていることに深謝し、共々に、一段と成長した姿での再会を約した。
伸一は、あいさつのあとも、さらに参加者の中に入り、励ましの言葉をかけていった。
連日の指導・激励で、彼の体は著しく疲労していた。
しかし、それを、はね返す活力がみなぎっていた。
人を懸命に励ます利他の実践によって、自らの魂が鼓舞され、勇気が、歓喜が、湧き上がるのである。
北海道縁の思想家・内村鑑三は言明する。
「自己に勝つの法は人を助くるにあり」