小説「新・人間革命」広宣譜5 2014年 11月22日

 
ほどなく、新学生部歌の曲も出来上がった。歌のタイトルは、「広布に走れ」に決まった。
歌は、直ちに、学会本部に来ていた学生部合唱団の有志によって録音され、テープが山本伸一に届けられた。
伸一は、妻の峯子と一緒に、そのテープを聴くと、歌の感想を尋ねた。
「若々しい生命が躍動するような、希望あふれる歌になりましたね。
これが発表されたら、きっと、皆さんは喜ばれますわ。学生部だけでなく、男子部も、女子部も、いえ、壮年も、婦人も歌いたくなるような歌だと思います」
「そう思うかい。では、二番にある『学徒の誉れ』の箇所を、学生部以外の人たちが歌う時には、『地涌の誉れ』としよう。これで問題解決だ!
ところで、私は、学生部だけでなく、今こそ、男子部、女子部をはじめ、各部に歌を作って贈ろうと思っているんだよ。
いや、各部だけではない。全国の方面や県・区、できれば支部にも歌を贈りたいんだ。
新しい前進には、新しい歌が必要だよ」
「でも、その時間がつくれますかしら。今年も全国各地を回る予定ですし、九月には第四次訪中もございますでしょ」
「私は、命を削る覚悟なんだよ。末寺では相変わらず理不尽な学会攻撃が続けられ、多くの学会員が苦しめられている。
だから、みんなを励ましたいんだ。こういう時こそ、新しい広宣流布のうねりを起こすんだ。
どんどん歌を作るよ。今が正念場だ。師子奮迅の戦いを起こすんだ。
大聖人は、『命限り有り惜む可からず遂に願う可きは仏国也』(御書九五五p)と仰せじゃないか。
大事なことは、どんな事態になろうとも、広布の使命に生き抜く本当の師子を育てることだ。
そのために、皆の心を鼓舞できる魂の歌を作りたいんだ。
どんな時でも、共に希望と歓喜の歌声を響かせ、明るく、朗らかに進んでいくのが学会だもの」
歌声は、魂の共鳴をももたらす。