小説「新・人間革命」広宣譜6 2014年 11月24日

学生部結成記念幹部会の六月三十日を迎えた。この日の「聖教新聞」四面に、「教学上の基本問題について」と題する記事が掲載された。
教学を研鑽していくうえでの、創価学会としての見解を発表したものである。
実は、六月の十九日に、宗門から学会に、三十数項目にわたる教学上の質問が寄せられた。
これは、「教義を逸脱している」などと言って学会を攻撃してきた僧(教師)らの質問を、宗門がまとめたものであった。
聖教新聞」や『大白蓮華』など、学会の機関紙誌、書籍をはじめ、各地方の有志が制作した紙誌までもチェックし、質問してきたのだ。
山本伸一の御書講義や講演の内容はもとより、首脳幹部や男女青年部幹部らの発言を取り上げての質問もあった。
たとえば、伸一は「諸法実相抄」講義で、「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり……」(御書一三六〇ページ)について、正法が弘まっていく原理を述べられたものと前置きし、総別の観点から、こう語った。
「この別してのお一人が、いうまでもなくご在世においては、日蓮大聖人ご自身であります。しかし、それはご在世のみならず『未来も又しかるべし』(同)と仰せであります。
創価学会は、初代会長・牧口先生が、まずお一人、立ち上がられ、唱えはじめられたところから二人、三人と『唱えつたえ』、約三千人にまでなった。
戦後は、第二代会長・戸田先生が、東京の焼け野原に立って、一人、唱えはじめられ、そこから、二人、三人、百人と『唱えつたえ』て、現在の一千万人以上にまでなったのであります」
この箇所について、宗門は、「大聖人がただお一人唱え初められたお題目であるにも関わらず初代会長・二代会長が唱えはじめられたというのは僭越ではないでしょうか」と言うのである。
伸一が述べたのは、日蓮大聖人の仏法が学会によって日本中、世界中に弘まった広宣流布の厳たる歴史である。