小説「新・人間革命」広宣譜38 2015年1月6日

転居してくる人たちが多い地域には、それまでになかった問題も生ずる。
その一つが、古くから地元に住む人たちと転入してきた人たちとが馴染めずに溝が生じ、地域的な連帯が失われてしまいがちなことである。
隣近所などの住民の相互協力、共同体としての結束は、地域を支える大きな力となる。
しかし、住民の連帯が失われていけば、人びとの孤立化、孤独化を招き、地域繁栄の基盤を揺るがすことになる。
住民の暮らしを守り、潤いある社会を築いていくには、行政などの施策の充実だけでなく、それを支えるための、住民相互の協力が不可欠となる。
特に、将来、単身や夫婦だけで暮らす高齢者世帯が増えれば増えるほど、地域住民の助け合いは、ますます重要になろう。
創価学会員には、広宣流布、すなわち人びとの幸福と社会の繁栄、平和を築こうという強い目的意識がある。
そして、多くの学会員が、御聖訓の「人のために火をともせば・我がまへあき(明)らかなるがごとし」(御書一五九八p)等の仰せを心肝に染めている。いわば、各人が共存共栄の哲学を確立し、人のために献身することが、仏法者の在り方であると自覚しているのである。
そうした学会員の考え方、行動が、近隣との交流を促進し、各地域にあって、人と人との連帯を築く、大きな原動力となってきた。
その人間融合の思想、生き方を、さらに広く地域社会に根づかせていくことが、千葉県に限らず、新しい転入者を迎え、急速に発展しつつある地域の、喫緊の課題であろう。
文豪トルストイは語った。
「自らより善くなり、世界をより善くする、これが人間生活の任務である」(注)と。
隣人、地域の人びとの幸福と繁栄を願い、皆が?家族?であるとの思いで、ねぎらいの言葉をかけ、励まし合う。
その人間の輪の拡大こそが、未来を開く希望の光であり、それが、創価学会の社会的使命でもある。