小説「新・人間革命」広宣譜47 2015年 1月15日

山本伸一は、「九州の歌」の歌詞を三番まで読み上げると、皆を見て言った。
「九州には、気取りはいらないよ。そんなものは、一切かなぐり捨てて戦うんです。
二番の歌詞の四行目を、私は『先駆の九州 いざ楽し』とした。これが大事なんです。
広宣流布の活動には、生命の歓喜がある。題目を唱えれば唱えるほど、信心に励めば励むほど歓喜増益し、心は弾む。
もちろん、苦しいことや悔しいことはあるが、信心の世界には、それに何倍も勝る喜びがある。
楽しくて楽しくて仕方がないというのが学会活動です。決して悲壮感に満ちた世界ではありません。
また、皆が楽しさを満喫して信心に励んでいくために、善知識である同志の連帯が、創価家族がある。家族ですから、悩みも、弱さも、ありのままの自分をさらけ出していいんです。上下の関係もありません。
何でも語り合いながら、真心の温もりをもって互いに包み合い、励まし合っていく──それが創価家族なんです。
人を励ませば、自分が強く、元気になる。人を包み込んでいけば、自分の境涯が、広く、大きくなる。仏道修行、学会活動は、自身を磨き鍛え、人生を楽しく、最高に価値あるものにしていくためにある
んです」
励ましは、人を蘇生させ、心と心を結び、社会を活性化させていく草の根の力となる。
伸一は、さらに歌詞に視線を注いだ。
「三番に、『崩れぬ道』とあるのは、牧口先生、戸田先生の大精神を受け継ぎ、広宣流布に生きる、われら創価の師弟の道です。
九州の皆さんが、学会を誹謗する僧たちによって、どんなに辛く、いやな思いをしてきたか、私はよく知っています。
しかし、日蓮大聖人の正法正義を貫き通してきたのは学会です。
正義なればこそ、魔は、さまざまな姿を現じて、競い起こって来る。
したがって、何があろうが、一歩も退いてはならない。ますます意気軒昂に、一緒に創価の『正義の歴史』をつくっていこうよ!」