大白蓮華 2015年(平成27年)2月号(No.783)

巻頭言
「我此土安穏」の地域づくりを!

創価学会名誉会長  池田大作

わが家には、朝な夕な清々(すがすが)しい勤行の響(ひび)きがある。それが、どれほど躍動する幸福のリズムであるか。

御書には、「家に讃教(さんきょう)の勤(つと)めあれば七難必ず退散(たんさん)せん」(1374ページ)と伝教大師の文を引かれている。

勤行は、大宇宙の究極(きゅうきょく)の法則たる妙法に合致して、生きる喜びを謳(うた)い上げていく生命の讃歌(さんか)である。

自我偈(じがげ)には「我此土安穏(がしどあんのん)」、即(すなわ)ち「衆生は劫尽(こうつ)きて大火に焼かるると見る時も我が此の土は安穏にして天人は常(つね)に充満(じゅうまん)せり」(法華経491 ページ)と説かれる。

どんな濁世(じよくせ)にも、我らは勤行の会座(えざ)から出発する。
そして三世十方(さんぜじっぽう)の仏天(ぶってん)を揺(ゆ)り動かし、いかなる災難(さいなん)も不幸も打ち払いながら、自らの使命の天地から「我此土安穏(がしどあんのん)」の世界を創(つく)り開いていくのだ。

日蓮大聖人は、「法妙なるが故(ゆえ)に人貴(にんとうとう)し・人貴きが故(ゆえ)に所尊(ところとうと)し」(1578ページ)と仰せになられた。
妙法を信受(しんじゅ)して行動する人こそ、貴き仏の生命を、自他共(じたとも)に限りなく輝かせてゆける「宝の人」である。

「宝の人」のいるところ、互いに尊敬(そんけい)し、支え合う「宝の絆(きずな)」が結ばれる。
その連帯から、何ものにも壊(こわ)されない立正安国(りっしようあんこく)の「宝土」が広がりゆくのだ。

いずこにも、経文通りの「悪口罵詈(あっくめり)」を堪(た)え忍(しの)び、血の滲(にじ)む努力を重ね、地域の信頼を勝ち取ってきた無名にして尊貴(そんき)な父母の勝利劇が刻(きざ)まれている。

今生の
楽しき思い出
今日もまた
縁(えにし)の地域を
広布の宝土へ

忘れ得ぬ熊本県天草(あまくさ)の功労の母は、村八分の圧迫(あっぱく)にも、邪宗門(じゃしゅうもん)の迫害(はくがい)にも屈(くっ)せず、また台風の被災など越すに越されぬ試練(しれん)の坂を勝ち越えてこられた。

「大好きな郷土から不幸を断ち、皆を幸福にしたい。
   このために生まれてきた地涌の菩薩が私です。
この私の誓願(せいがん)の人生を見なっせ! 負けんばい! 反発する人たちも、私の信心を鼓舞(こぶ)してくれていると思うと感謝が湧(わ)き、救わずにおれんとです」と、今も新たな対話に挑戦を続ける。この宝の心を、お子さん方も、地域の青年たちも受け継いでいる。

16年前、台湾はマグニチュード7・6 の大地震に見舞われた。救援活動に献身(けんしん)するSGI (創価学会インタナショナル)の同志に、私は祈りを込めて「我此土安穏天人常充満(がしどあんのんてんにんじようじゅうまん)」と認(したた)め、お贈りした。
わが友が不屈(ふくつ)の闘魂(とうこん)と団結で、この苦難を変毒為薬(へんどくいやく)し復興(ふっこう)に貢献(こうけん)してこられた歴史を、私は忘れない。

思えば、敗戦(はいせん)の焼け野原に、戸田城聖先生が一人立たれて、人類の生存を脅(おど)かす魔性(ましょう)への戦いを開始されてより70年――。今や、民衆の平和と幸福のネットワークは、揺るぎなく地球を包(つつ)んでいる。

恩師は、広布の拡大に励む友に呼びかけられた。
「誰に対しても、一念三千で大誠実でいこう! 一念三千であるゆえに、わが一念に仏性(ぶっしょう)を現(あらわ)していけば、相手の境涯(きょうがい)も必ず変わっていく。
自分が動き、語った分、地域を安穏(あんのん)の楽土(らくど)に変えていけるんよ!」と

何より心強いことは、我らには日本中、世界中に「異体同心(いたいどうしん)」の同志がいる。
「従藍而青(じゅうらんにしよう)」の人材が続いている。共々に励まし、共に祈り、守り合って、今年も「我此土安穏(がしどあんのん)」の地域づくりに勇(いさ)んで挑(いど)もう!