大白蓮華 2015年(平成27年)3月号(No.784)

「喜悦はかりなし」の信心の炎を
 創価学会名誉会長 池田大作

モンゴルの大詩人であり、共に「友情の大草原」を広げてきた、ツェデブ博士は高らかに謳(うた)った。
「心に火を持つことほど、爽快にして健康なものはない/胸に炎を持つことほど、顔(かんばせ)を輝かせるものはない」と。
この心の火が失われ、胸の炎が消えてしまえば、人の世は凍(こご)え、時代は闇(やみ)に覆(おお)われてしまう。
日蓮仏法は、万人の胸奥に「仏性」という最極の生命の炎を灯しゆく太陽の法理である。
我ら創価家族は、正法の聖なる火を、あの町でも、この街でも、一人一人の心に点火してきた。
その人間主義の熱は民衆の心を励まし温め、その生命尊厳の光は地域・社会を明るく照らしている。

御義口伝には、「今日蓮等(ら)の類(たぐい)南無妙法蓮華経と唱え奉るは生死(しょうじ)の闇を照(てら)し晴(はら)して涅槃(ねはん)の智火(ちか)明了(みょうりょう)なり」「煩悩(ぼんのう)の薪(たきぎ)を焼いて菩提の慧火(えか)現前するなり」(710ページ)と仰せである。
妙法の智慧(ちえ)こそが、生老病死という苦悩の闇を打ち破る大光であり、いかなる悩みも難題も前進の力へ転換しゆくエネルギーなのである。
ゆえに、自行化他(じぎょうけた)の題目を唱え、この究極の智慧の炎を燃え上がらせるならば、自分自身の命が変わる。宿命も変えられる。どんな人も、どんな国土も、必ず必ず変えていけるのだ。
その希望のドラマを示していくのが、我らの「人間革命」の挑戦であり、「立正安国」の連帯である。

懐かしき北海道の草創のご夫妻は、大雪の猛威(もうい)も、言うに言われぬ旧習の圧迫も、すべて撥(は)ね返して、実証を示し、仏縁を広げ抜いてこられた。
「悪口(あっこう)のおかげで強くなれました。臆(おく)せば、何も変わらない。大確信の対話は必ず通じます。相手の変わる姿から、信心のすごさを学びました。地涌の菩薩の命を燃やし続けて、地域に磐石(ばんじゃく)な楽土を築いていきたい」。そう語る笑顔皺(じわ)が、あまりに神々しい。
こうした多宝の先輩たちの尊き学会精神の炎を、わが後継の青年部は、広宣流布の実践の中で、たくましく受け継いでくれている。創価の若人の大情熱こそが、同世代の冷めた友の心をも熱く揺さぶり、蘇らせていく陽光なりと、私は確信してやまない。

日蓮大聖人は、命に及ぶ佐渡流罪の大難の中で、悠然と「流人(るにん)なれども喜悦(きえつ)はかりなし」(1360ページ、「諸法実相抄」)と言い放たれた。
この御本仏に直結して、命の奥底(おうてい)に灯した我らの誓いの火は、断じて消えない。試練の烈風(れっぽう)が吹き荒(すさ)ぶほどに、いよいよ燃え盛るのだ。

わが師・戸田城聖先生は叫ばれた。
「いろんな悩みや人の中に飛び込んで、もみくちゃになって戦ってこそ、自分が変わり、 周囲も変えていける。その喜びをつかむための悩みでもあるんだよ。我らは勇敢(ゆうかん)に濁世(じょくせ)を救おうではないか!」と。
さあ、共々に「喜悦はかりなし」と、信心の炎を燃やし、わが使命の国土を赫々(かっかく)と照らしゆこう!
 
たくましく
広布に生き抜く
一念に
勇気よ 歓喜
炎と輝け