民衆凱歌の大行進 22 ①

世界宗教への飛翔
 
万歳を
同志(とも)と叫ばむ
五月晴れ
さらに続けよ
前進勝利を
 
尊き団結の奮闘で「5月3日」を凱旋で飾った我らは、勇気凜々(りんりん)と新たな前進を開始した。
共々に出発しよう!
創価の師弟は、永遠に前へ前へ進むのだ。
「私は続けるだろう」とは、ルネサンスの巨人レオナルド・ダ・ビンチが晩年に記した言葉だ。
偉大な創造は「続ける」中にある。
偉大な勝利も「戦い続ける」中にこそある。
 
日蓮大聖人は、「終(つい)には一閻浮提(いちえんぶだい)に広宣流布せん事一定(いちじょう)なるべし」(御書816㌻、「御講聞書」)と仰せになられた。
今月、SGI(創価学会インタナショナル)の春季研修では、世界65カ国・地域から270人もの同志が、勇んで集ってくれた。
これは、SGIメンバーがいる192カ国・地域の実に3分の1にもあたり、五大陸すべてから、宿縁深き友が一堂に会したのである。
私も、東京・信濃町の総本部で、皆さん方とお会いすることができた。本当に嬉しかった。
また研修会と呼応し、40年前にSGIが結成された原点の天地グアムのリーダーたちが、早くも次の結成50周年への出発を期して、はつらつと来日してくれた。
さらに30年前、四国の徳島県で共に忘れ得ぬ歴史を刻んだ、ブラジル広布の功労者「徳島会」の代表も、阿仏房と千日尼の如き求道の心で、広宣流布大誓堂での誓願勤行会に参加された。
皆が法華経の行者であり、地涌の菩薩である。それぞれの誓いの国土で、希望の太陽となり、励ましの太陽となって、幸福と平和の光を広げに広げているのだ。
我らは「大法弘通」へ、「慈折広宣流布」へ、一丸となって邁進(まいしん)する、異体同心のスクラムだ。
 
大聖人が願われた通り世界宗教の大光は、ここに燦然(さんぜん)と輝いている。
世界宗教へ飛翔しゆく大切な力は、まず「一人立つ」精神である。
自らの仏性に目覚め、広宣流布の使命に決然と「一人立つ」勇者がいれば、新たな変革の波が起こる。自分が変われば、地域が変わり、世界が変わるのだ。
一人ひとりの生命の尊厳と平等を説き切った大哲学があるからこそ、いかなる試練にも屈せず、「一人立つ」力を信じ抜くことができる。
御書には、「日蓮一人(いちにん)・南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経等と声もをしまず唱うるなり」(同328㌻、「報恩抄」)、また「地涌の菩薩のさきがけ日蓮一人なり」(同1359㌻、「諸法実相抄」)等々、幾度となく「日蓮一人」とお認(したた)めである。
御自身が一人立ち、戦い続けてこられたのだ。その上で「わたうども(和党共)二陣三陣つづきて」(同911㌻、「種種御振舞御書」)と、後継の弟子が陸続と立ち上がることを確信なされていた。
一人から一人へ、師匠から弟子へ、そして師子と師子の連帯へ!――この広宣流布の大道を、寸分違わず進まれたのが、戸田城聖先生であった。
先生は戦時中、巣鴨の東京拘置所の独房で作られた「同志の歌」に、こう詠まれている。
「妙法流布の 大願を 高くかかげて 独り立つ」
ここに広宣流布誓願とし、永遠の使命とした学会精神の根本がある。
と同時に、先生は熱願された。「捨つる命は 惜しまねど 旗持つ若人 何処(いずこ)にか」「競うて来たれ 速やかに」と。
今、日本全国、そして全世界で、いよいよ勢いをまして「旗持つ若人」が一人また一人と、立ち上がっている。若き地涌の菩薩が満を持して躍り出る、世界広宣流布の躍進が始まっているのだ。
 
次に、「一人を大切にする」ことを、世界宗教の条件に挙げたい。
誰もが掛け替えのない生命である。誰もが生老病死の苦悩を抱えた人間である。今この時を地球で生きる仲間である。
上も下もない。貧富や貴賤の差などない。
「生命」を基準にした時、誰もが一対一で向き合うことができる。
この一対一の対話を、最も尊い人間修行としたのが、法華経である。
「能く竊(ひそ)かに一人(いちにん)の為(た)めにも、法華経の乃至(ないし)一句を説かば、当(まさ)に知るべし、是(こ)の人は則(すなわ)ち如来の使(つかい)にして、如来に遣わされて、如来の事(じ)を行ず」(創価学会法華経357㌻)
一人のため、あの友のために、真剣に法華経を語る人こそが「如来の使い」と言われるのだ。
世界広布といっても、その最前線は、いずこの国でも、一対一の対話ではないか。いつでも、どこでも、誰でも、目の前に苦しんでいる人がいれば、親身に声をかける。悩みを聞き、共に泣き、共に祈り、共に喜び合う。
この「一人を大切にする」人間主義の行動が、あらゆる人に無条件に開かれているところに、創価学会が世界に広がった理由があるのだ。
私が対談したトルコ出身の文化人類学者ヤーマン博士は、ある一つの国や地域で生まれた宗教が「世界宗教」になりうるには、「対話」が大切だと強調された。
「対話を通して、異なる文化の奥に普遍のヒューマニズムが脈打つことを知るべきです」
ヤーマン博士は、わがSGIメンバーが、それぞれの地域で、ヒューマニズムの啓発の対話を重ねていることを称賛してくださった。
創価学会の平和への挑戦は、劇的であり、この長年にわたる挑戦自体が偉大な達成である」と。
(つづく)
さらに世界宗教の条件は、生命の大地たる母たち、女性たちを中心に、幸福を創り出していくことではないだろうか。
御聖訓には、「母の赤子の口に乳を入れんとはげむ慈悲なり」(御書585㌻、「諫暁八幡抄」)と仰せである。
仏の慈悲は、遠くにあるのではない。母の慈愛の振る舞いの中にある。生命を守り育む女性の心で、万人を平等に照らしていくことこそが、平和の拡大なのだ。
「お母さん」と呼ぶだけで、心が温かくなる。母が笑うと、周りにも笑顔と安心が広がる。
5月10日「母の日」、大聖人御聖誕の天地で勝ち進む千葉県の友と、SGIの研修メンバーとの交流交歓会が行われた。
多くの地域の友人たちも交えた、世界市民の語らいの真ん中に輝いていたのも、創価の太陽たる母たちである。
母が語る信仰体験ほど胸を打つものはない。
創立の父・牧口常三郎先生は、「今までの宗教は観念論ばかりで実験証明はなかった」と喝破された。そして、妙法の力によって、わが生命を蘇生させた同志の体験談の発表を「ダイヤモンド」と讃えられたのである。
婦人部を中心に、現実の生活で幸福の現証を勝ち取り、その体験を語り合う。これが万国共通の広布伸展の波動である。
今年の「SGIの日」記念提言で、私は、国境や世代を超えたエンパワーメント(内発的な力の開花)の連鎖を築く取り組みとして、SGIの体験談運動を紹介した。
千差万別の苦悩を打開してきた、創価の体験談の輪の中にこそ、万人を包むことのできる同苦の温もりがある。誰人をも蘇らせていく勇気と希望の熱がある。
いよいよ、6月には、婦人部総会。7月には、青年部を主体に創価体験談大会も行われる。
私たちは、縁する友と「どんな宿命も絶対に転換できる」と励まし合い、一緒に感激のドラマを創りながら、人間革命の大歓喜の連帯を広げていきたい。
 
60年前の5月3日、両国の旧国技館で開催された総会で、戸田先生は、 “民衆救済の方程式たる広宣流布を断行するのだ” と師子吼(ししく)なされた。
そして、その直後から、足立支部などの会合で、もったいなくも御本尊は “幸福製造機” なりと譬(たと)えつつ、人生打開の信心の力を訴えられた。
御本尊根本の強盛な信心によって、満々たる生命力を湧き出し、自他共の幸福をつかみ切っていけと叫ばれたのである。
我らには絶対勝利の信心がある! この決定(けつじょう)した信仰こそ、広宣流布の原動力にほかならない。
さあ、打って出よ!
広布と人生の試練の山々を、一つ、また一つ、不屈の負けじ魂と麗しき異体同心の団結で乗り越えて、晴れやかに勝利の握手を交わすのだ!
創価の師弟が21世紀の前進の目標と掲げてきた2030年――学会創立100周年は、今、育ちゆく青年部・未来部が担い立つ晴れ舞台である。
黄金の明日を開こう。わが愛弟子たちよ、民衆の希望と輝く、仏法の人間主義の太陽を生命に燃やし、日本中、世界中で乱舞してくれ給え!
 
胸を張り
誓いの大地に
立ち上がれ
世界広布の
足音 響かせ
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
レオナルドの言葉は田中英道著 『レオナルド・ダ・ヴィンチ』 (講談社)から。