小説「新・人間革命」 清新64 2016年年8月29日

山本伸一は、集った九州の同志に、広宣流布に生き抜いていくためにも健康と長寿の人生であってほしいと念願し、それ自体が仏法の真実を証明することにもなると力説した。
さらに、リーダーは、「皆が使命の人である」との認識に立って、人材の育成にあたってもらいたいと要望し、こう話を結んだ。
「どこまでも信心第一で仲良く前進していることが、和合の縮図です。
仲の良い組織は人びとを元気にします。皆に力を湧かせる源泉となります。
世間は、嫉妬や憎悪、不信が渦巻いています。
だからこそ私たちは、和気あいあいとした、信頼と尊敬と励ましの人間組織を創り、その麗しい連帯を社会に広げていこうではありませんか!
この二月も、また、この一年も、苦楽をともにしながら、私と一緒に、新しい歴史を刻んでいきましょう!」
大きな拍手が轟いた。外は雪が降り続いていた。しかし、会場は新出発の息吹が燃え盛り、熱気で窓は曇った。
ここで、「東洋広布の歌」の大合唱となった。九州の同志は、いや、全学会員が、「東洋広布は 我等の手で」と、この歌を高らかに歌いながら広宣流布に邁進してきたのだ。
東洋広布を担おうと、アジアに雄飛していった人もいたが、大多数の同志の活躍の舞台は、わが町、わが村、わが集落であった。
地を這うようにして、ここを東洋広布の先駆けと模範の天地にしようと、一軒一軒、友の家々を訪ねては、仏法対話を交わし、幸せの案内人となってきた。
創価の同志は、地域に根を張りながら、東洋の民の安穏を祈り、世界の平和を祈り、その一念は地球をも包んできたのだ。
そして、伸一が海外を訪問するたびに、大成功を祈って唱題を重ねた。
一方、伸一は、皆の祈りを生命に感じながら、全同志を代表して平和の道を開くのだ!との思いで全精魂を注ぎ、走り抜いてきたのである。
この師弟不二の心意気が、東洋、世界への広宣流布の未聞の流れを開いてきたのだ。