小説「新・人間革命」 大山 六十三 2017年3月17日
山本伸一の落ち着いた力強い声が、場内に響いた。
「私は、19歳で信仰いたしました。以来、今日まで約30年間、病弱であった私が入院一つせず、広宣流布のために戦ってくることができました!」
そして、それこそが、御本尊の威光の証明であることを訴え、1960年(昭和35年)5月3日、第3代会長就任式の折、心に深く刻んだ「開目抄」の一節を拝した。
「詮ずるところは天もすて給え諸難にもあえ身命を期とせん」(御書232ページ)
結局のところは、天も私を捨てるがよい。いかなる難にも遭おう。身命をなげうつ覚悟はできている
――日蓮大聖人の烈々たる死身弘法の決意の言である。
伸一は力説した。
「このお言葉は、生涯にわたって、私並びに私どもの、信心の確固たる決意として持続していかなければならないと思いますが、皆さんいかがでしょうか!」
何があっても、信心だけは、大山のごとく不動でなければならない。彼は話を続けた。
それは、誰も想像しなかった、未曾有の「世界広布の時代」の到来を告げるものであった。