小説「新・人間革命」 雄飛 二十八 2017年7月17日
わざわざ鳥取から集って来た同志である。
彼は力の限り励まし、勇気づけたいと会場に駆けつけた。
鳥取の友の会合に出席するのは、一九七八年(昭和五十三年)七月に米子を訪問して以来、約二年ぶりであった。
どの顔も求道と歓喜の輝きに満ちていた。
彼は共戦の同志に、万感の思いを込めて呼びかけた。
「遠いところ、お疲れさまです。明るい、元気な皆さんの姿を拝見し、希望の未来を見るようです。
諸天も皆さんを寿ぐかのように今日も五月晴れになりました。
この関西の常勝の空を、十分に味わってください。
すべての苦悩は、大幸福境涯にいたるステップです。
何があっても、信心根本に悠然と進み、意義深き黄金の思い出をつくってください。
人の一生には、さまざまな出来事がある。
しかし、長い目で見た時、真面目に信心に励んだ人は、必ず勝利し、輝いています。
背伸びする必要はありません。
ありのままの自分でいい。学会と共に進んでいくことです。
仏にも悩みはある。悩みは常につきまとうものです。
濁世の、せちがらい苦労だらけの世の中で、自他共の幸せを築いていくために出現したのが、地涌の菩薩である皆さんです。
幸福を勝ち取るために、自分に勝ってください。私も、お題目を送ります」
その指導は、同志の心に、深く染み渡っていった。
地涌の使命に目覚め立つ時、勇気が湧く。大生命力がみなぎる。
小説『新・人間革命』語句の解説
◎煩悩即菩提など/煩悩即菩提の煩悩とは、衆生の心身を煩わし悩ませる因となる、さまざまな精神作用のこと。
生死即涅槃の生死は、迷いの境涯であり、涅槃は悟りの境地のこと。煩悩即菩提と同義。