小説「新・人間革命」 雄飛 四十五 2017年8月7日

山本伸一は、今回のハワイ訪問では、ジョージ・アリヨシ州知事と会談したほか、ハワイ総会に出席するなど、精力的に平和交流とメンバーの激励に奔走した。
そして、サンフランシスコ、ワシントンDCと回り、十月十日にはシカゴに到着した。
伸一は、行く先々で、一人でも多くのメンバーにお目にかかり、全力で励まそうと固く決意していた。
各地のアメリカ広布二十周年の記念総会に臨み、会館を訪れ、協議会等にも出席
した。
少しでも時間があれば家庭訪問もした。
サンフランシスコでは総会に集った三千五百人の友と交歓。
第一回のアメリカ訪問の折に足を運んだ、コロンブス像が立つテレグラフヒルにも行き、メンバーの代表と記念撮影し、アメリカ広布への新出発を誓い合った。
また、ワシントンDCでの記念総会では、参加した四千人のメンバーを激励。
翌日の最高協議会では、法華経に登場する「大王膳」について語り、指導した。
「『大王膳』とは、法華経の偉大さを山海の珍味に満たされた王様の食膳に譬えたものです。
不幸に泣いていた私どもが、御本尊に巡り合い、信心に励み、無量の功徳を得た所願満足の大境涯といえます。
一方、どんなにご馳走があったとしても、反目し合いながらの食膳は『修羅膳』、
あさましい、むさぼりの心の食膳は『餓鬼膳』であり、人を陥れようと陰謀を企てながらの食膳は、結局は『地獄膳』となってしまう。
清らかな心で、世界広布、皆の幸福を願う私どもの食膳──広くとらえれば、日々の活動や会議も、最も豊かで貴い『大王膳』に通じることを確信してください。
また、法華経には『人華』という言葉がある。妙法の光に照らされ、広宣流布に邁進していく人の美しさを、このように讃えているともいえます。
その華は、歓喜に輝き、功徳が薫り、人びとに幸の芳香を放ち、人生の充実という満開の時を迎える。
私は人華であるとの誇りをもって進んでいただきたい」