【第2回】 ロサンゼルスの「花かご」   (2017年6月1日)

自分の良さを光らせよう
 
どこまでも広がる青空のもと、色あざやかな花が咲いています。
ここは、アメリカ•カリフォルニア州のロサンゼルスです。
映画の都ハリウッドがあることで有名な、とても大きな都市です。
「晴れの日」が1年間に300日もあり、「太陽の街」と呼ばれています。
近くのサンタモニカには、アメリSGIの本部があります。
そしてロサンゼルス南東のオレンジ郡には、わがアメリ創価大学のキャンパスが広がっています。
この5月、13回目となる卒業式が行われ、世界国々から集った英才たちが、使命の舞台へ羽ばたいていきました。
みんなもいつか行ってみてね。
アメリ創価大学が開学したのは、2001年の53日です。 21世紀とともに出発しました。
その5年前の19966月、私は、開学の準備などのため、ロサンゼルスを訪れていました。
車から降りると、きりっとした街灯に、美しいゼラニウムの花々が、かごに入ってかざられていました。
赤い色はお姉さん、ピンク色は妹さんみたいでした。街灯が、明るい姉妹の花と、楽しく話し合っているように見えました。
私はカメラを取り出して、シャッターを切りました。すると、その楽しそうなおしゃべりが聞こえてきたのです──。
 
「こんにちは! すばらしい天気ね」
ゼラニウムの姉妹が、街灯くんを見上げながら声をかけました。
「ああ、気持ちのいい青空だよ。みんなもきれいに咲いたね」と、街灯くんが答えました。
「ありがとう。うれしいわ」
姉のレッドさんが、ほほえみました。
「さっき、歩いていた人も、私たちを見て、思わず笑顔になっていたわ」
妹のピンクさんも、ほこらしそうです。
街灯くんは言いました。
「2人はいいね。人を笑顔にできるから」
レッドさんは、しばらく考えた後、やさしく語りました。
「でも、私たちも最初から、みんなを笑顔にできたわけじゃないわ。
まだ『種』だった時は、だれも見てくれなかったもの」
ピンクさんも語り始めました。
「種の時は小さくて、色も決して『きれい』とは言えないし……。
『君が花になるなんて信じられないよ』と笑われたこともあったわ」
レッドさんが続けます。
「それでも私たちは信じてたの。『必ず花を咲かせられる』って。
でも1人でがんばったわけじゃないわ。
水やりをしてくれる人がいたり、恵みの雨が降ったり、太陽が光のエネルギーをいっぱいくれたりしたの。『負けないで!』って」
街灯くんは、つぶやきました。
「そうだったんだね。今では想像もつかないなあ。君たちが咲いてくれたおかげで、ぼくも鼻が高いよ。
いつもは全然、見向きもされないからね」
レッドさんが、花びらをふるわせました。「そんなことはないわ。街灯くんにしかできないことが、あるじやないの!」
街灯くんは「何のこと?」と、 首をひねりました。
ピンクさんが答えました。
「街灯くんは、夜になると、明かりがつくでしょ? その明かりがあるから、みんな、ほっと安心できるのよ」
レッドさんは「そうね。それに、街灯くんが、私たちを高くつり上げてくれるから、みんなが見くれるんですもの」と。
ちょうど日が暮れてきました。
街灯くんの表情が、パッと明るくなり、ランプに明かりがともりました。
花の姉妹は、声をはずませました。「わあ、とっても明るいわ。
やっぱり、かがやく笑顔が、街灯くんにはぴったりだわ!」
夕暮れのロサンゼルスの空に、3人の笑い声がひびきました。
 
花には、花の色や咲き方などに合わせた「花言葉」があります。
ゼラニウム花言葉1つは、「尊敬」です。
「尊敬」とは、どんな相手にも、良いところを見つけて、大切にしていく心です。
お父さんやお母さんや家族、学校の先生方や仲良しの友だちは、 みなさんにとって大切な人たちです。
クラスを見まわすと、いつもみんなを明るくする子もいれば、 ふだんは目立たないけど、いざという時に光る子もいるね。
それぞれに、必ず良いところがあります。
そう思って、まわりの人を見て大切にしていくと、今度はまわりの人が、みなさんの良いところを発見してくれるようになります。
人を尊敬できる人が、やがて人から尊敬される人になるのです。
人に向かって「あなたを尊敬しています」とは、なかなか言えませんね。
でも、大丈夫です。だれにも言えて、相手に尊敬の心を伝える2つの言葉があります。
1つは、「おはよう」です。 朝、起きて、お父さん、お母さんに言えば、尊敬の心が伝わります。
笑顔をそえれば、最高の親孝行です。
「おはよう!」と元気に朝を出発すれば、学校の先生やクラスのみんなにも「おはよう」「こんにちは」「さようなら」と、 その日一日あいさつができます。
私も、少年時代、朝の新聞配達をしている時、会う人ごとに「おはようございます!」と、元気にあいさつをしました。
すると、みんなニコニコして、声をかけてくれました。あいさつは、最高の尊敬の言葉なのです。
もう1つは「ありがとう」です。感謝を伝えることは、最高の尊敬の心を伝えることです。
ごはんを 作ってくれて「ありがとう」、知らないことを教えてくれて「ありがとう」、温かいはげましの声をかけてくれて「ありがとう」……。
「ありがとう」は、相手に尊敬の心が伝わるとともに、言えば言うほど自分も元気になっていく、とてもふしぎな言葉です。
私は、広宣流布という、世界に平和と幸福の花を広げていく運動を私といっしょに進めてくださっている、みなさんのお父さん、お母さん、おじいさん、おばあさん、一人一人にお会いして、「ありがとう」と申し上げたい気持ちでいっぱいです。
私の後をつぐ少年少女部のみなさんは、どうか私にかわって「ありがとう」をたくさん言ってください。
みなさん、今回も続んでくれて、ありがとう!
みなさんが伸び伸びと、自分らしく成長することが、私にとっても、世界の創価家族にとっても、1番の希望です。ありがとう!