【第3回】 カナダ「ナイアガラの滝」   (2017年7月1日)

続けることは偉大な力
 
私たちは、いくらでも大きくできる、ふしぎな宝物を持っています。
いったい、何だと思います か? それは、「心」です!
心は大海原よりも深く、大空よりも広々と、大宇宙さえも包みこんでいける大きさがあります。
それなのに、小さなことにとらわれて、友だちとけんかばかりしたり、終わったことにいつまでもクヨクヨしたりしていては、もったいない。
大きな大きな心で、みんなと仲良く前へ進んでいこう! 新しいことを、どんどん学び合っていこう! そう決めると元気がわき、笑顔にもなります。
私には、大きな自然に恵まれた国で、大きな心をもって、仲良く楽しく前進している友人たちがいます。
そんな国の1つが、アメリ力のとなりにあるカナダです。日本の約27倍もの面積です。
1960年の秋10月、私は初めてカナダを訪れました。
飛行機の窓から見わたす限りの大地に木々の葉が広がり、あざやかな赤や黄色のじゅうたんのようでした。
すばらしい「ナイアガラの滝」にも出あいました。
この滝はアメリカとカナダの間を流れる川にあり、3つの滝が並んでいます。
1番大きなものは、水が50メートル以上も下に落ち、幅は675メートルもあります。
世界一の東京スカイツリーの高さが634メートルだから、それよりもさらに広いんだね。
近づくと、ものすごい量の川の水が真っ逆さまに落ちて、地鳴りのような音がとどろいてきます。
私は1981年の6月にも、青年たちと、ナイアガラの滝に行きました。
巨大な滝は、20年以上をへても、まったく変わることなく流れ続けていました。
まるで、川が大きな口を開けて、ごうかいに笑っているようにも見えました。
数え切れないほどの水しぶきは、楽しそうに、はしゃいでいる子どもたちのようです。
私は、そのにぎやかな語らいを聞く思いで、カメラを向けました。
 
ざざざー、ざざざー。
ごごー、ごごごー。
「わっはっはー。やあー、こんにちはー。気持ちいい日だねえ」
ナイアガラおじいさんは、きょうも元気に笑っています。
その笑い声は、ずっと昔から変わることなく、おおらかで、明るく、力強いのです。
ナイアガラおじいさんのまわりには、いつも、数えきれないほどの水しぶきが、太陽に照らされてキラキラと光っています。
みんな、この川で生まれた子どもたちです。
「きゃっ、きゃっ!」
「わーい、わーい!」
「ナイアガラおじいさん、こんにちは!」
子どもたちは、とびはねて遊ぶと、また、滝の中に帰っていきます。
ナイアガラおじいさんが、大きな声で言いました。
「みんなー、この先には、大きな湖があるよー。
そして、さらに川を下っていくと、広い広い海に出るぞー。さあ、手をつないでー。わっはっはー」
水の子どもたちは大はしゃぎ。
「わー、とびこむぞー!」
「高いよー!」
子どもたちの中には、おとなしい子も、ちよっとこわくて泣いている子もいます。
「大丈夫だよ!」「心配ないよ!」
ナイアガラおじいさんは、やさしく笑いながら、すべての子をしっかりとだきかかえ、川下の湖へと送り出すのです。
水しぶきの子どもの1人が聞きました。「おじいさんは、いつから、ここにいるの?」
「そうだねえ」と、ナイアガラおじいさんは、少し考えました。
12000年くらい前からかな。実は昔は、11キロも川下の方にいたんだ。
でも、こうして、ずーっと水が流れ続けるうちに、 岩でできた川の底が、少しずつけずれてきて、だんだん上流にうつってきたんだ。
みんなが、力を合わせて流れ続けてくれたからなんだよ」
「へえ—、すごい。ずっと流れ続けていれば、さらさらした水でも、かたい岩だって、けずることができるんだね!」
子どもたちは、新しい発見に大喜びです。ナイアガラおじいさんは、にっこりして言いました。
「どんなことでも、やり続ければ、思ってもみないような自分になれるんだ。
それに、1つのことを一生けんめいにがんばっていると、だれかが見ていてくれるものさ。
私もこうやって大きな声を出して、みんなと対話しているから、今では、たくさんの人が世界中から来てくれるようになったんだよ—」
水しぶきの子どもたちは、いっせいにうなずきました。
「ぼくたちも、挑戦だ!」「私たちも努力を続けましょう!」「さあ、みんなで海を目指して、仲良く出発だよ!」
子どもたちが太陽の下で、勢いよとびはねると、大きな大きな虹があらわれました。
 
ナイアガラの滝が、長い時間をかけて岩をけずったように、自分が決めたことを一生けんめい、やり続ければ、必ず成長できます。
願った以上の自分自身になれます。その「やり続けるパワー」を 引き出してくれるのが、題目なのです。
だから、題目を唱えて、挑戦を始めてみよう。たとえば——
早寝早起きをする。
元気な声であいさつをする。
部屋をかたづける。
進んで歯みがきをする。
勉強•宿題の時間を決めてやる。
読書の時間をとる。
毎日、「いつやるか」を自分で決めて、リズムをつくるといいね。
ちゃんとできたら、カレンダーなどに丸をつけるのも楽しいよ。
できないときがあっても、また、挑戦すればいい。
やった分だけ、自分の力になるんだから。
へこたれないで、何度でも挑戦し続ける。この努力が大事だよ。
なさんのお父さんやお母さんも、身近な人はもちろん、世界中の人たちを幸せにしたいという大きな心で、流れ続ける滝のように、毎日、祈り、はげましを送り続けています。
本当に偉大です。
そして、だれよりも、何よりも、みなさんの成長を願い、がんばってくれているのです。
私たちは、世界中の人が明るく、楽しく、平和に生きていけるよう、大きな大きな心で祈り続けよう! 語り続けよう!
そしてきょうも、自分のできることから挑戦を続けよう!
とうとうと流れ続ける、ナイアガラの滝のように、たゆまず、おそれず、朗らかに!
池田先生とカナダ
池田先生は、カナダを3度、訪れています。初訪問は196010月。
信心をしていない1人の女性が、日本にいるお母さんからの依頼を受け、空港で出むかえてくれました。
その女性が後に入会し、メンバーが全土に広がっていったのです。
3度目は、939月から10月。7日間の旅の中で先生は、すばらしい人を生きるための5項目として、「懸命の生きる人生は美しい」「余裕ある人生は内実が豊か」「快活に生きる人生は強い」「 仲良く生きる人生は明るい」「誇りに生きる人生は崇高」と語りました。
また、名門モントリオール大学の元学長で、「がん」という病気の研究で有名なシマー博士、同大学のブルジョ博士とともに『健康と人生』と題する本を刊行しています。
本年は、先生がカナダの友に、長編詩 「ナイアガラにかかる虹」をおくられて30周年。記念の集いがが、各地で盛大に開催されました。