社説 現代人と“希薄な人間関係” 2006・6・28

 先日発表された「人間関係」に関する世論調査(読売新聞12日付)によると、「人付き合いや人間関係が希薄になりつつある」と思う人が、7%増えて、80%になったという。(2000年の同調査との比較)
 特に20歳代では、14%増えて73%に。それ以外の年代はいずれも2~7%の増であり、20歳代の間で希薄感の高まりが顕著だった。

   仏法で説く人への接し方

 人間関係の希薄化の原因として、携帯電話メールやインターネットの普及がすぐに思い浮かぶ。同調査でも、携帯電話メールの影響について、「人間関係が表面的になる」「誤解が多くなる」等、プラス面よりマイナス面を指摘する回答が多かった。
 さらに、興味深い質問があった。“豊かな人生にためには、できるだけ多くの人との信頼関係が必要か?”との問いに対して、必要とした人は全体で95%、20歳代では99パーセントにも上がっていたのだ。
 深い人間関係を求めながらも、手軽なコミュニケーション手段に頼るあまり、満足な関係を築けないー調査の結果から、このような現代人の人間像の一端を垣間見た。

 池田名誉会長は、対談集『健康と人生』の中で、“人への接し方”を説いた、仏法の“四摂法”の概念を紹介している。

 四摂法とは①「布施」(物質的援助もあるが、思想的、精神的にも応接し、相手の不安を取り除き、勇        気を与える行為)
      ②「愛語」(思いやり、慈悲のある言葉で対話をすること)
      ③「利行」(どうすれば相手の立場に立てるかを考えて、行動すること)
      ④「同事」(相手と一緒になって行うこと)のこと。

 名誉会長は、「“四摂法”を行う能力が、現代社会において、ますます大切になってきている」と述べている。
 対話を根幹にして、どこまでも同苦しながら粘り強く友を励ましていくーこの学会活動の伝統こそ、仏法で説く“人への接し方”のとおりの生き方である。

       地域に友情と信頼の絆を

 先の世論調査には、“家族以外ではどんな人付き合いを大事にしたいか”との質問も。トップは「隣近所の人」で70%。「インターネットの仲間」は2%に過ぎなかった。安心できる、確かな人間関係への要求が透けて見える。
 -豊かな人間関係を再構築しゆくために、わが地域に友情と信頼のネットワークを張りめぐらし、いよいよ誇り高く進もうではないか。


  わが友に贈る

 日々発心 日々挑戦だ!
 何があっても怯むな。
 変毒為薬の信心と
 太陽の楽観主義で
 皆に勇気と力を!