一九七八年（昭和五十三年）七月四日、東京創価小学校の作法室で、創立者・山本伸一と教職員の懇談会は続いていた。 伸一は語った。「教育の成果は、十年後、二十年後、いや三十年後、五十年後、百年後に出る。長い目で見ていくことが大事です。 教師という…

一九八五年（昭和六十年）七月十六日朝、林田新華と弘高の姉弟は、創価小学校に登校する前、母親の千栄子が入院する病院を訪れた。 母は、優しい笑みを浮かべて、子どもの手を握り、学校へ送り出した。 その午後、母親は、笑っているような顔で、安らかに息…

本川雅広の一家の生活は、困窮を極めた。 贅沢な食事など、いっさい口にすることはなかった。彼は、「焼き肉」といえば、“たくさんのモヤシを焼いて食べるもの”と思っていた。 また、衣服のほとんどは、親戚などからのもらい物で過ごした。 本川の両親は、懸…