2007年1月度研修教材② 上野殿御返事

上野殿御返事
 虎うそぶけば大風ふく・竜ぎんずれば雲をこる・野兎のうそぶき驢馬のいはうるに・風ふかず雲をこる事なし、愚者が法華経をよみ賢者が義を談ずる時は国もさわかず事もをこらず、聖人出現して仏のごとく法華経を談ぜん時・一国もさわぎ在世にすぎたる大難をこるべしとみえて候
解説
 当時、南条時光に対し、“国中から憎まれている日蓮につけば、主君の覚えもよくない”と味方のようなふりをして、信心をやめさそうとする動きがありました。それに対して大聖人は、大難を受けていること自体、その人の偉大さを証明するものであるという道理を、譬えを用いて示されています。
 世の中を揺り動かす大きな戦いを起こせば、それに対する大きな反発があるのは当然です。何も難が起きないのは、それが取るに足りないものであることを示しているのです。
 大聖人は、“虎がほえれば風が吹き、竜が叫べば雲を起こす”という言葉を引かれ、聖人が法華経を実践すれば、一国が騒ぎ、大難が起きるが、愚者が法華経を読み、賢者が義を断じても、世間には何事も起きないとされています。愚者とは、法華経の義を何も知らない人を指し、賢者とは、法華経の義を頭だけで理解し、実践していない諸宗の僧を指していると解されます。
 大聖人は、一切衆生を成仏せしめる根源の大法を広められたからこそ、第六天の魔王が現れ、釈尊以上の大難が起こったのです。大聖人は、難に遭うという事実をもって、仏の金言を身読できた喜びを語り、南条時光に不退の信心を貫くように激励されています。
 現代において、大難を受けながら正法を弘めてきたのは、学会の三代会長以外にはいません。「私どもの“正義の叫び”こそが『大風』や『雲』を呼び起こしてきたのである」「ここに大聖人の『正統』の門下としての『現証』がある」との池田名誉会長のスピーチを命に刻み、前進sっじていきましょう。