小説「新・人間革命」 陽光21 1月26日

 翌五日、山本伸一は、サンディエゴの市庁舎を表敬訪問した。

 今回のコンベンションには、アメリカ各地はもとより、日本などからの参加者も含め、一万人を超える人びとが集うことになる。

 コンベンションを円滑に安全に行うには、多くの人びとの協力が不可欠である。特にパレードの折の交通規制をはじめ、さまざまな面で、市をあげての協力なくしては成功はありえない。

 サンディエゴ市は、市長をはじめ、関係者が積極的に応援してくれていたのだ。

 伸一は、アメリカのメンバーに代わって、心から御礼、感謝申し上げようと、真っ先に市庁舎を訪れたのである。

 迅速な行動であった。その迅速さこそが、外交の勝負を決する。

 市庁舎では、ピート・ウィルソン市長が、満面に笑みをたたえて、伸一と峯子を迎えてくれた。

 市長は、四十歳の若さあふれるリーダーであった。長期的展望に立った都市計画を推進し、その手腕は連邦政府からも高く評価されていた。

 伸一は、市長と握手を交わしたあと、丁重にこう語った。

 「サンディエゴ・コンベンションに招待を受け、こちらの市を訪問させていただきました。メンバーに代わり、市当局のご協力に対して、心から御礼申し上げます」

 すると市長は、頬を紅潮させて言った。

 「コンベンションの開催地に、わがサンディエゴ市を選んでいただき、ありがとうございます。

 さらに会長ご夫妻をお迎えできましたことは、最大の喜びであり、最高の光栄です。

 今回、企画されているパレードや花火大会などの催しは、市の歴史に残る祭典になると思います。コンベンションの大成功を祈るとともに、深く感謝いたします」

 「ありがたいお言葉です。私どもこそ、感謝に堪えません」

 アメリカのメンバーは、創価学会の正義と真実を、市長をはじめ、関係者に、堂々と胸を張って訴え抜いてきた。その努力の結実であった。

 学会の行事の開催を、市民が心から喜んでくれる――その状況がつくられた時、広宣流布の流れは大きく加速する。

 そこに「仏法即社会」の勝利の実証がある。