小説「新・人間革命」 陽光48 2月28日
山本伸一の一行は、太平洋国立記念墓地から、ハワイ会館に向かった。会館の庭で行われる、交歓の集いに出席するためである。
この集会は、伸一の提案によって、「一九七五――プレ・ハワイ・コンベンション」と名づけられていた。
彼は、この集いをもって、明年七月のハワイ・コンベンションへの、スタートにしようと考えたのである。
迅速なスタートこそが勝利を決するからだ。
また、せっかく皆が集まるならば、そこに大きな意義を与え、価値を創造したかった。それが、そこに参画する人びとの真心に、応えることになるからだ。
会館に到着した伸一は、出迎えたメンバーに笑顔で語りかけた。
「アローハ!」
彼は、現地の人たちと同じように、アロハシャツ姿であった。
伸一は、皆の決意を促すように言った。
「さあ、今日から、来年のハワイ・コンベンションへの出発だよ。
来年は、第二次世界大戦の終戦三十周年だ。
そして、私が世界の平和旅への第一歩を、このハワイで皆さんと共に踏み出してから十五周年になる。
このコンベンションをもって、ハワイから、世界平和と人類の幸福の大潮流を起こそう。黄金の広布の歴史を残そうよ」
メンバーの目標は明確になった。皆の胸に、新しい希望が広がった。
「人間の活動は新しい目標を追うてはじまる」(注=5面)とは、ドイツの詩人ヘルダーリンの至言である。
プレ・ハワイ・コンベンションは、午後六時半過ぎから行われた。
満天の星であった。
暗闇のなか、トーチに火がともされると、庭の青々とした草木や、色とりどりの花々が、浮かび上がった。
伸一が会場に姿を現した。大歓声が起こった。
彼は、用意された席には着かず、メンバーのなかに入って、激励し始めた。
皆、伸一を迎えることのできた喜びに、瞳を輝かせていた。彼を力の限り抱き締める老婦人もいた。彼の手が痛くなるほど、力いっぱい握手をする青年もいた。
伸一は、一人ひとりに用意してきたレイをかけ、記念品を贈った。
引用文献: 注 「春」(『ヘルダーリン全集2 詩II』所収)手塚富雄訳、河出書房新社
この集会は、伸一の提案によって、「一九七五――プレ・ハワイ・コンベンション」と名づけられていた。
彼は、この集いをもって、明年七月のハワイ・コンベンションへの、スタートにしようと考えたのである。
迅速なスタートこそが勝利を決するからだ。
また、せっかく皆が集まるならば、そこに大きな意義を与え、価値を創造したかった。それが、そこに参画する人びとの真心に、応えることになるからだ。
会館に到着した伸一は、出迎えたメンバーに笑顔で語りかけた。
「アローハ!」
彼は、現地の人たちと同じように、アロハシャツ姿であった。
伸一は、皆の決意を促すように言った。
「さあ、今日から、来年のハワイ・コンベンションへの出発だよ。
来年は、第二次世界大戦の終戦三十周年だ。
そして、私が世界の平和旅への第一歩を、このハワイで皆さんと共に踏み出してから十五周年になる。
このコンベンションをもって、ハワイから、世界平和と人類の幸福の大潮流を起こそう。黄金の広布の歴史を残そうよ」
メンバーの目標は明確になった。皆の胸に、新しい希望が広がった。
「人間の活動は新しい目標を追うてはじまる」(注=5面)とは、ドイツの詩人ヘルダーリンの至言である。
プレ・ハワイ・コンベンションは、午後六時半過ぎから行われた。
満天の星であった。
暗闇のなか、トーチに火がともされると、庭の青々とした草木や、色とりどりの花々が、浮かび上がった。
伸一が会場に姿を現した。大歓声が起こった。
彼は、用意された席には着かず、メンバーのなかに入って、激励し始めた。
皆、伸一を迎えることのできた喜びに、瞳を輝かせていた。彼を力の限り抱き締める老婦人もいた。彼の手が痛くなるほど、力いっぱい握手をする青年もいた。
伸一は、一人ひとりに用意してきたレイをかけ、記念品を贈った。
引用文献: 注 「春」(『ヘルダーリン全集2 詩II』所収)手塚富雄訳、河出書房新社