小説「新・人間革命」 SGI7  1月10日

経過報告に続いて、あいさつに立ったのは、IBL(国際仏教者連盟)の議長に就任したアメリカの代表であった。

 彼は、IBLの会長に山本伸一を、また、名誉総裁に法主の日達を推薦し、皆に諮った。

 即座に、全員の賛同の拍手が返ってきた。

 さらに議長は、ひときわ大きな声で語った。

 「次に、私は、世界の山本先生の弟子を代表して、先生にお願いしたいことがあります。

 それは、われわれ全員の願いとして、われらの先生に、創価学会インタナショナル(SGI)の会長として、さらに世界平和の指揮を執っていただきたいということであります。

 われわれの総意として先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか!」

 期せずして参加者全員が立ち上がり、場内を圧するような大拍手が起こった。拍手は、いつまでも、いつまでも鳴りやまなかった。

 伸一は、立ち上がって皆に一礼した。

 「ワーッ」という歓声が起こり、拍手は一段と激しさを増し、雷鳴のように轟いた。

 「山本先生! 今後ともよろしくご指導をお願いいたします」

 伸一の方を向いて、議長は叫ぶように言った。

 この日、この時、全世界の代表たちの総意により、山本伸一を会長とする創価学会の世界的なスクラムとして、SGIがスタートしたのだ。

 SGIも、IBLも、それぞれの国や社会の繁栄、世界平和の実現などに寄与するという目的は同じである。

 そのうえでSGIは、日蓮大聖人の仏法思想の理解を広げるとともに、メンバーが仏法を正しく理解し、信心の成長を図るために、信心活動の指導・助言を行うという役割を担っている。

 そして、必要に応じて指導員の派遣や研修会、講習会、各種儀式、行事等も、実施していくことになる。

 いわば、日蓮仏法を根底に、人類の幸福、世界の平和を実現していくためのアドバイスなどを行うとともに、その原動力となる学会精神を脈動させ、信心を啓発していく機構こそ、SGIなのである。 その誕生は、世界の同志の切実な願いであり、強い要請であった。