小説「新・人間革命」SGI9 1月12日

世界のどの国にあっても、メンバーには“信心の在り方や教学を教わりたい”“人生の問題や活動の方法等、さまざまな事柄について指導を受けたい”という、強い思いがあった。

 特に、中心者が信心して日が浅く、活動経験に乏しい場合には、なおさらであった。

 また、各国・地域のリーダーたちの多くが、日蓮大聖人の仏法思想への理解を広げていくには、まず、自分たちが創価学会の歴代会長に流れる学会精神、師弟の精神を継承していかなければならないと、気づき始めていたのである。

 東南アジアの代表は、創価学会の歴史を振り返りながら、仏法の人間主義を伝え抜いていくうえで、何が最も必要なのかを真剣に考えた。

 ――初代会長の牧口先生は、日蓮大聖人の仰せ通りに正法正義を貫き、軍部政府の弾圧と戦い、獄中で殉教されている。

 第二代会長の戸田先生は師の牧口先生と共に投獄され、獄中にあって、「仏とは生命なり」と悟達された。

 これによって、人びとの現実生活からかけ離れているかのように思われていた仏法が、生命の法理として輝きを放ち、現代に蘇ったのだ。

 また、戸田先生は、「われ地涌の菩薩なり」との悟達を得られ、人類の幸福を実現しゆく久遠の使命を自覚された。

 そして、法華経の「在在諸仏土 常与師倶生(在在の諸仏の土に 常に師と倶に生ず)」(創価学会法華経三一七ページ)の文を生命で実感、体得され、広宣流布に生き抜く師弟の道に、仏法の正道があることを教えてくださった。

 さらに戸田先生は、立正安国(正を立て国を安んずる)こそ、日蓮大聖人の御精神であり、そこに、仏法者の社会的使命があることを示された。

 そして、「地球民族主義」の理念を打ち立て、「原水爆禁止宣言」を行い、世界平和を叫び続けてこられた。

 この創価の師弟に連なり、その精神と実践とを体得せずしては、メンバーが大聖人の仏法の正道を歩むことも、人びとの幸福と平和の道を開くこともできないにちがいない――。

 広宣流布の脈動も、その世界的な広がりも、創価学会の師弟の道にこそあるのだ。