小説「新・人間革命」  5月20日 共鳴音2

五月の三日には、午後一時前から、東京・八王子の創価大学中央体育館で「5・3」記念式典が開催された。

 式典の開会に先立ち、午前十一時からは、グラウンドで鼓笛隊の慶祝パレードも行われ、祝賀の調べが大空に舞った。

 集った人びとの顔には、喜びがあふれていた。

“山本先生が会長になってくださり、一切をなげうって指揮を執られたからこそ、この十五年間の学会の大発展があったのだ!”

 それが、この日集ったメンバーの実感であり、偽らざる心境であった。

 一方、伸一は、こう思っていた。

“私が十五年、会長として指揮を執り、広宣流布を大きく前進させることができたのは、同志の皆さんのおかげ以外の何ものでもない。

 皆、苦労に苦労を重ねて、本当に頑張ってくださった。時には、辛い思いも、悔しい思いも、悲しい思いもされたにちがいない。

 しかし、私と心を合わせ、勇気を奮い起こし、広宣流布の使命に生き抜いてくださった。

 法のため、友の幸福のために流したその汗と涙は、すべて珠玉の福運となることは、仏法の法理に照らして絶対に間違いない。

 私は、地涌の菩薩である尊き創価の法友に、わが同志に、心の底より感謝申し上げたい。そのための式典である!”

 記念式典の会場に姿を現した伸一は、入り口付近にいた参加者に「ありがとう!」「ありがとう!」と声をかけながら、次々と握手を交わしていった。

 感謝あるところに、生命の共鳴があり、団結が生まれるのだ。

「祝典序曲」の力強い演奏で幕を開けた式典は、開会の辞、「二〇〇一年をめざして」と題する青年部代表の抱負に続いて、「創価功労賞」「国際功労賞」「広布文化賞」「広布功労賞」の授賞が行われた。

 これらの賞は、“功労のあった同志を最大に顕彰したい”との思いから、伸一が提案し、設けられたものである。

創価功労賞」は、広宣流布創価学会の興隆に貢献した功労者の代表に贈られるもので、「国際功労賞」は、世界の各地で広宣流布のために活躍してきたメンバーに贈られる賞である。