小説「新・人間革命」 共鳴音9 5月28日

 「5・3」の祝賀行事として、五月四、五日には「学会歌まつり」が、また、五日には記念の本部幹部会が、いずれも創価大学の中央体育館で開催された。

 この本部幹部会でも山本伸一の渾身の激励が続いた。三日の記念式典に続いて会場提供者の表彰が行われたほか、新たに設けられた「弘教推進賞」が五百五十人に贈られたのである。

 この賞も伸一の提案をもとに、副会長会議等で協議され、決定をみたものである。

 日興遺誡置文にも「弘通の法師に於ては下輩為りと雖も老僧の思を為す可き事」(御書一六一八ページ)とある。

 つまり、折伏の闘士に対しては、最高の敬意を払うというのが、日蓮仏法の精神である。

 弘教の勇者こそが、最高の勇者なのである。

 伸一は、本部幹部会の会場に姿を現すと、そのまま表彰者の席に向かった。そして、この日が「端午の節句」にあたることから、用意していた布のカブトを、表彰者たちに配り始めた。

 「おめでとう! ありがとう!

 皆さんは、民衆の幸福のために立ち上がった闘将です。大将軍です。私の心からの讃嘆として、カブトをお贈りします。

 これを被って、意気揚々と前進しようではありませんか!」

 壇上には、菖蒲をはじめ、美しい花々が飾られていた。

 その花を見ると、伸一は言った。

 「すばらしい花です。しかし、壇上に飾るのではなく、婦人部の参加者に差し上げてください。それが一番ふさわしい。

 婦人部の皆さんは、民衆の幸福と平和のために戦い抜いてこられた大功労者です。

 私は、その皆さんに、最大の感謝を込めて花を捧げたいんです」

 歓声が起こり、拍手が舞った。壇上にいた幹部たちが下に降りて、花を配り始めた。

 伸一は、この日のスピーチでは、未来展望に触れ、今後は広宣流布に励む同志の牙城として、各地の会館を充実させていくことなどを発表した。

 また、創価学会は、どこまでも「人間のための宗教」であり、深く民衆に根差すとともに、互いに守り合い、励まし合っていく信頼の団体であると訴えた。