小説「新・人間革命」  11月25日  新世紀7

 山本伸一は、大田区の幹部たちに視線を注ぎながら、話を続けた。

 「地域広布を推進していくには、地域の方々に、学会の会館はわが町の誇りであると、思っていただけるようにすることです。

 したがって、会館の使用に関しては、駐車や駐輪、騒音などで、近隣に迷惑をかけることがないように心がけていただきたい。

 そして、『学会の会館があると、地域が明るくなり、活気づく。町が栄える』と言われるようにしていくことが大事です。

 また、会館を立派にするのは、もし、地震や台風などの災害があった時には、地域の方々の避難所としても使えるようにするためでもあります。地域を守り、繁栄させ、人びとを幸福にしていくための会館です。

 学会の会館は、地域の発展に寄与する灯台です。皆さんは、その灯台守の自覚で、会館を守っていってください」

 皆が大きく頷いた。

 さらに、伸一は、決意を込めて語った。

 「大田は学会の源流の地です。大切な広宣流布の要衝です。年ごとに、大発展していかなければならない。

 将来は、もっと、もっと、立派な会館を、この大田の地につくっていきます。そのために私は、今の何倍も懸命に働きます。みんなで創価の大田城をつくろうじゃないですか」

 「はい!」

 元気な声がはね返った。

 会館の改築、建設の構想は、日夜、地域広布に邁進するメンバーにとって、希望の目標となり、大きな励みとなった。

 皆の夢は、広がった。

 「たえず力を新たにして新しい道を求めること――これこそが、いつの世にも進歩の秘訣」(注)とは、詩聖タゴールの言葉である。

 協議会では、参加者から、地域友好の在り方や女子部の活動の進め方などについて、活発な質問が相次いだ。皆が躊躇なく、自由に質問し、語り合える雰囲気のなかにこそ、創価人間主義の実像がある。

引用文献

 注 「協調」(『タゴール著作集8』所収)森本達雄訳、第三文明社