小説「新・人間革命」  4月22日 波濤8

 男子部長は、山本伸一に、船員のメンバーから、グループを結成してほしいとの要望が寄せられていることも伝えた。

 伸一は答えた。

 「大事なことです。

 幹部には“どうすれば、仏子である学会員が、喜々として信心に励み、成長していけるのか。幸福になっていけるのか。そのために、どんな手を打てばよいのか”を、真剣に考え、智慧を絞っていく責任がある。

 外国航路の船員は、一年のほとんどが船の上であり、学会活動ができずに悩んでいる。当然、男子部としても、手を打つべきです。その実情を知りながら、何もしないのは無責任であり、無慈悲です。

 今回の夏季講習会で、しっかりと核になるメンバーを育成し、結成の準備に入ろう」

 夏季講習会が始まった。初めて船員の代表九人が参加しての講習会である。教学の研鑽などのほか、緑陰で懇談もし、互いの決意を披瀝し合った。

 伸一は、全員に土産として、御宝前に供えた菓子を贈った。また、男子部長は、メンバーと語り合い、こう提案した。

 「今回、結成準備委員会を発足させ、来年の講習会で、船員グループの結成大会を行いたいと思うが、どうでしょうか」

 歓声があがった。皆、大賛成だった。

 「船員のグループができる!」

 その知らせは、喜びの大波となって、船員のメンバーに伝わっていった。グループの結成に向け、皆が活発に活動を開始した。船員座談会も、横浜、神戸などで開催された。

 歓喜は活力の源である。それが生命の躍動をもたらし、困難の壁をも突き破るのだ。

 また、男子部の幹部と相談しながら、グループの機構、人事、活動の内容についても、協議が重ねられた。

組織化の手順としては、最初に男子部、そして壮年部に広げていくことになった。さらに、毎年の夏季講習会に全国の代表が集うことや、船員座談会の月例化などが決まっていった。