小説「新・人間革命」  6月23日 波濤59

創価学会は、現代社会にあって、人間教育のための社会教育機関として大きな役割を担ってきた。青少年に対してはもとより、女性の社会教育という面でも、その貢献は、極めて大きいといえよう。

 家庭の事情などから、義務教育も十分に受けられなかった女性が、学会の女子部、婦人部という組織のなかで教育され、地域の女性リーダーとして活躍している例は少なくない。

 山本伸一は、女性に対する創価学会の社会教育的側面に言及していった。

 「学会の女性たちは、仏法の生命哲理を根本に、さまざまな勉強をしている。幸福論、価値論、宗教論、教育論、平和論も学べば、政治、芸術、文化なども勉強している。そして、何よりも、人間学に精通している。

 さらに、大事なことは、広宣流布の使命を自覚して、自らの意志で、友の幸福のため、社会の繁栄のために、情熱を燃やして奔走している事実です。

 社会でも、女性教育への、さまざまな試みがあるが、多くは、教養や技術を身につけることにとどまっているのが現状といえます。

つまり、『知情意』のなかの『知性』を培うことはできても、『感情』『意志』の円満な発達を促すことは難しい。しかし、学会には、『知情意』を培う人間教育があります。

 しかも、学会では、単に教わるだけではなく、同時に、自分も教える側になり、互いに励まし合うという、切磋琢磨がある。

 また、信心に定年はない。したがって、学会には永遠の生涯教育がある。民衆のための人間教育の最高学府が創価学会です。この伝統を守り、発展させていくことが必要です」

 質問は、さらに何問か続いた。いずれも、組織をどう発展させるかなど、広宣流布への一途な思いを感じさせる質問であった。

 伸一は、未来への希望と力を感じた。

 「真に心を堅固にし、一心に前に向かって行くならば、たとえ泰山であっても動かせるものである」)とは、韓国の思想家・丁若ギョンの言葉である。



引用文献

 注 丁若ギョン著「茶山文選」(『ナラマルスム6』所収)ソル出版社(韓国・朝鮮語