随筆 人間世紀の光 No.207 ㊦ 2009-10-17
「大座談会運動」がたけなわである。
この場で、私たちは、『大白蓮華』に掲載されている座談会拝読御書を学ぶ。今月は信・行・学の永遠の軌道を示された「諸法実相抄」の有名な御文である。
「……行学た(絶)へなば仏法はあるべからず、我もいたし人をも教化候へ、行学は信心よりをこるべく候、力あらば一文一句なりともかた(談)らせ給うべし」(同1361㌻)
妙法を朗々と唱える生命に、師子王の大力《だいりき》が湧き上がらないはずはない。その信心の喜びを、その思いのたけを、勇敢に、力の限り叫んでいけばよいのだ。
ともあれ、皆で集い合っては、大聖人の御書を開き、信心の確信を深め、広宣流布と人間革命の決意を新たにする──実は、これこそ、大聖人御在世から変わらぬ「仏道修行の根幹」であるといってよい。
すなわち、門下に送られた御手紙の文中に、幾度となく御指導されている。
「此文を心ざしあらん人人は寄合て御覧じ料簡候て心なぐさませ給へ」(同961㌻)
姉妹のように仲良き二人の女性(国府尼と千日尼)には、こう仰せである。
「同心なれば此の文を二人して人によませて・きこしめせ」(同1324㌻)
何人かの同志が集まって、大師匠である蓮祖の御手紙を声を出して拝する。
御手紙を学び合い、「何があっても師と共に戦おう!」「断じて勝とう!」と励まし合う。
それは、まさしく今日の「座談会」の光景そのものではないだろうか。御書に示された方程式に完璧に則った、充実と和楽の学会活動なのである。
永遠の 生命知りたる 哲学の 博士の君よ 万事 勝ちゆけ
私が対談した、アメリカ実践哲学協会のマリノフ会長は言われた。
「自己を向上させる仕事に、もうこれでいいという完成はありません」「一瞬一瞬、絶え間のない新たな挑戦が必要なのです」
常に、心新しき挑戦だ!
常に、前へ前へ前進だ!
脳研究の成果によれば、難しい課題を学び続ける脳では、神経細胞(ニューロン)が活発にネットワークを形成し、生き残りやすいことがわかっている。
大人になっても懸命に学びの努力を止めないことは、新しい脳細胞が生き残り、脳が生き生きと鍛えられる可能性を高めるといえようか。
いわんや私たちは、生老病死を常楽我浄へと転じゆく仏法を、日々、学び、実践している。
ここにこそ、最高に若々しく、使命の人生を飾りゆく健康長寿の道があるといってよい。
嵐にも また怒濤にも 哲学の 大英雄の 旗を振りゆけ
弘安2年(1279年)の10月17日は、新暦では730年前の11月29日となる。
この日、「熱原の法難」の真っ只中で、日蓮大聖人は電光石火、「聖人等御返事」を門下のために認《したた》められた。
「各にはおづる事なかれ、つよりもてゆかば定めて子細いできぬとおぼふるなり」(御書1455㌻)
弟子よ、恐れるな!
師子の子よ、断じて一歩も退くな!
いよいよ強く進んでいくならば、必ず意味深き現証が現れる!
猛然と進むことである。
堂々と叫ぶことである。
すさまじき 求道の友 立ち上がり 尊き同志の 功徳は永遠にと
先日、創価学会インドネシアの代表が来日してくださった。御聖訓の通りに、いかなる苦難も断固として勝ち越えてきた誉れの同志である。
私は、インドネシア大学からの「名誉哲学・平和博士」の栄誉を、この同志とご一緒に拝受させていただいた。いじらしき友に捧げゆく思いであった。
哲人指導者ワヒド元大統領と私は、インドネシア最高峰の文豪プラムディヤ先生の人生と文学をめぐっても、語り合った。
先生は獄中で創作した作品で綴られている。
「困難は己を弱くするのではなく、逆に強くするものである」
「人間はどんなつらい苦しみにも立ち向かうことができる。そして苦しみは乗り越えたとたんにその深刻な顔などどこかへ消し飛び、むしろ滑稽な笑い話にさえ思えるものである」
真正の哲学は、人間を最も強く、最も明るくする。
妙法に生き抜く人生は、「冬は必ず春となる」(御書1253㌻)という究極の希望の大法則を、一年また一年、晴れ晴れと証明しゆく「勝利」の春夏秋冬となるのだ。
ブラジルの哲人指導者ルイ・バルボーザは叫んだ。
「社会の中に生きるために、もっとも重要なことは、正義の精神を打ち立てることだ」
毀誉褒貶の社会に漂う、浅薄な人生は不幸である。自らの胸中に、友の心に、そして社会の核心に正しき生命尊厳の平和哲学を打ち立てることだ。それが、「行学の二道」に生き抜く創価の人生である。
「教」「機」「時」「国」「教法流布の先後」──いわゆる「宗教の五綱」のうちでも、まず、仏法者は「時」を知ることが肝要である。
創立80周年へ向かう、栄光輝くこの「時」を大切にしながら、学び抜き、語り抜き、悠然と、また晴れ晴れと、正義の陣列を拡大していこうではないか。
御聖訓 胸に抱きて 一生涯 広布に戦う 正義の創価よ
トルストイの著作からの引用は『トルストイ全集19』所収「大なる罪悪」黒田辰男訳(岩波書店)=現代表記に改めた。プラムディヤは『すべての民族の子』押川典昭訳(めこん)。脳科学の話は『日経サイエンス』本年6月号所収「鍛えるほど頭はよくなる 新生ニューロンを生かすには」ショア著(日経サイエンス社)など参照。
この場で、私たちは、『大白蓮華』に掲載されている座談会拝読御書を学ぶ。今月は信・行・学の永遠の軌道を示された「諸法実相抄」の有名な御文である。
「……行学た(絶)へなば仏法はあるべからず、我もいたし人をも教化候へ、行学は信心よりをこるべく候、力あらば一文一句なりともかた(談)らせ給うべし」(同1361㌻)
妙法を朗々と唱える生命に、師子王の大力《だいりき》が湧き上がらないはずはない。その信心の喜びを、その思いのたけを、勇敢に、力の限り叫んでいけばよいのだ。
ともあれ、皆で集い合っては、大聖人の御書を開き、信心の確信を深め、広宣流布と人間革命の決意を新たにする──実は、これこそ、大聖人御在世から変わらぬ「仏道修行の根幹」であるといってよい。
すなわち、門下に送られた御手紙の文中に、幾度となく御指導されている。
「此文を心ざしあらん人人は寄合て御覧じ料簡候て心なぐさませ給へ」(同961㌻)
姉妹のように仲良き二人の女性(国府尼と千日尼)には、こう仰せである。
「同心なれば此の文を二人して人によませて・きこしめせ」(同1324㌻)
何人かの同志が集まって、大師匠である蓮祖の御手紙を声を出して拝する。
御手紙を学び合い、「何があっても師と共に戦おう!」「断じて勝とう!」と励まし合う。
それは、まさしく今日の「座談会」の光景そのものではないだろうか。御書に示された方程式に完璧に則った、充実と和楽の学会活動なのである。
永遠の 生命知りたる 哲学の 博士の君よ 万事 勝ちゆけ
私が対談した、アメリカ実践哲学協会のマリノフ会長は言われた。
「自己を向上させる仕事に、もうこれでいいという完成はありません」「一瞬一瞬、絶え間のない新たな挑戦が必要なのです」
常に、心新しき挑戦だ!
常に、前へ前へ前進だ!
脳研究の成果によれば、難しい課題を学び続ける脳では、神経細胞(ニューロン)が活発にネットワークを形成し、生き残りやすいことがわかっている。
大人になっても懸命に学びの努力を止めないことは、新しい脳細胞が生き残り、脳が生き生きと鍛えられる可能性を高めるといえようか。
いわんや私たちは、生老病死を常楽我浄へと転じゆく仏法を、日々、学び、実践している。
ここにこそ、最高に若々しく、使命の人生を飾りゆく健康長寿の道があるといってよい。
嵐にも また怒濤にも 哲学の 大英雄の 旗を振りゆけ
弘安2年(1279年)の10月17日は、新暦では730年前の11月29日となる。
この日、「熱原の法難」の真っ只中で、日蓮大聖人は電光石火、「聖人等御返事」を門下のために認《したた》められた。
「各にはおづる事なかれ、つよりもてゆかば定めて子細いできぬとおぼふるなり」(御書1455㌻)
弟子よ、恐れるな!
師子の子よ、断じて一歩も退くな!
いよいよ強く進んでいくならば、必ず意味深き現証が現れる!
猛然と進むことである。
堂々と叫ぶことである。
すさまじき 求道の友 立ち上がり 尊き同志の 功徳は永遠にと
先日、創価学会インドネシアの代表が来日してくださった。御聖訓の通りに、いかなる苦難も断固として勝ち越えてきた誉れの同志である。
私は、インドネシア大学からの「名誉哲学・平和博士」の栄誉を、この同志とご一緒に拝受させていただいた。いじらしき友に捧げゆく思いであった。
哲人指導者ワヒド元大統領と私は、インドネシア最高峰の文豪プラムディヤ先生の人生と文学をめぐっても、語り合った。
先生は獄中で創作した作品で綴られている。
「困難は己を弱くするのではなく、逆に強くするものである」
「人間はどんなつらい苦しみにも立ち向かうことができる。そして苦しみは乗り越えたとたんにその深刻な顔などどこかへ消し飛び、むしろ滑稽な笑い話にさえ思えるものである」
真正の哲学は、人間を最も強く、最も明るくする。
妙法に生き抜く人生は、「冬は必ず春となる」(御書1253㌻)という究極の希望の大法則を、一年また一年、晴れ晴れと証明しゆく「勝利」の春夏秋冬となるのだ。
ブラジルの哲人指導者ルイ・バルボーザは叫んだ。
「社会の中に生きるために、もっとも重要なことは、正義の精神を打ち立てることだ」
毀誉褒貶の社会に漂う、浅薄な人生は不幸である。自らの胸中に、友の心に、そして社会の核心に正しき生命尊厳の平和哲学を打ち立てることだ。それが、「行学の二道」に生き抜く創価の人生である。
「教」「機」「時」「国」「教法流布の先後」──いわゆる「宗教の五綱」のうちでも、まず、仏法者は「時」を知ることが肝要である。
創立80周年へ向かう、栄光輝くこの「時」を大切にしながら、学び抜き、語り抜き、悠然と、また晴れ晴れと、正義の陣列を拡大していこうではないか。
御聖訓 胸に抱きて 一生涯 広布に戦う 正義の創価よ
トルストイの著作からの引用は『トルストイ全集19』所収「大なる罪悪」黒田辰男訳(岩波書店)=現代表記に改めた。プラムディヤは『すべての民族の子』押川典昭訳(めこん)。脳科学の話は『日経サイエンス』本年6月号所収「鍛えるほど頭はよくなる 新生ニューロンを生かすには」ショア著(日経サイエンス社)など参照。