小説「新・人間革命」  12月26日 未来33

 誕生会の最後に、全員で札幌創価幼稚園の園歌を合唱した。五月に誕生した歌である。

 ピアノの調べに合わせて、園児たちのかわいらしい歌声が響いた。

  

 一、ひつじがおかの あおいやね

   ことりもげんきに うたってる

   やさしくみている やえざくら

   おうじ おうじょの きんのみち

  

 口を大きく開けて、声を張り上げて熱唱する王子王女たちの愛くるしい姿に、山本伸一は、目を細めながら、一緒に歌った。

  

 二、にじのトンネル はなどけい

   ゆめはおおきく ふくらんで

   やくそくします せんせいに

   つよく ただしく のびのびと

   

 合唱が終わると、彼はマイクを取った。

 「みんなの元気な、成長した姿を見て、本当に嬉しい。歌や演奏も、大変に上手です。

 この幼稚園は、日本、世界で、一番よい子が集まっている幼稚園です。このなかからは、不幸な人は一人も出てはならないし、出してもならない。みんなが、幸せになる権利があるんです。

 来年からは、たくさんの妹や弟も入ってきます。どうか、先生方の言うことをよく聞いて、仲良くしてあげてください。

 寒くても、暑くても、雪が降っても、いやなことがあっても、自分に負けないで、頑張り通してください。そして、お友だちと、一生涯の友情を結んでいってください。

 十一月三日に、東京で、小学校の起工式をします。起工式というのは、“これから建物をつくりますよ”という式なんです。

 これで、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、大学院と全部そろいます。一貫した最高の教育の場ができるんです。

 また、皆さんにお会いしに来ます。おうちの方にも、よろしく伝えてください」