随筆 我ら勝利の大道 NO 3 「創価文化の輝き」㊤ 2010-1-21

絶え間なく 戦い生き抜く 我らには 三世にわたりて 名曲 響かむ



創立八十周年の新春を飾る本部幹部会も、わが創価の楽雄・音楽隊の名演奏で開幕した。創価ルネサンスバンガードのファンフアーレも、創価グロリア吹奏楽団も素直らしかった。

そして、白ゆり合唱団の「今日も元気で」も、富士中学生合唱団の「母」の歌声も、誠に美事であった。

御書には「音の哀楽を以て国の盛衰を知る」(八八ページ)と引かれている。希望の音楽隊には未来を開く活力がある。

勝ち栄えゆく創価の世界には、常に明るく力強い音声が響いているのだ。

何よりも、我らは「妙法」という大宇宙を動かす根源のリズムに則り、無限の希望の音律を響かせながら、朗らかに前進できる。

この幸福勝利の道に、絶対に間違いはない。

大文豪ゲーテは、ある年の新年に詠じた。

「われらふたたび集い 晴れやかなる歌によりて 胸も強まる心地す」と。

よき友と心をはずませ、よき文化を共に織りなしゆく人生の春夏秋冬は、なんと楽しく清々しいことか。

本部幹部会には、芸術部の代表の同志も、嬉々として出席してくれた。

新しい一年、広宣流布という最極の平和と文化の舞を、弾けるような生命力で繰り広げていきたい。



竪琴は剣より強し



八王子の東京富士美術館での「華麗なるオーストリア大宮殿展」も二十万人を超える方が鑑賞された。

「竪琴は剣よりも強し」とは、ヨーロッパ文化の繁栄を担ったハプスブルク家の家訓の一つという。その荘厳な「文化力」に光を当てた展示会である。

絵画や彫刻とともに、家具や衣装、食器など、王室の日常を彩った「生活に輝く美」に、多くの感嘆の声が寄せられている。

今月の二十六日からは、岡山県立美術館で盛大に開催される。関係者の先々のご尽力に感謝したい。

私の胸には、懐かしき思い出が去来する。

それは、半世紀以上前、恩師・戸田先生が、わざわざ機会を作り、青年たちに本格的なテーブル・マナーを学ばせてくださったことである。

先生は、ナイフやフォークの使い方も分からない青年たちを微笑み見つめられつつ、丁寧に礼儀作法を教えられていた。

また、先生は、婦人部の代表五十人と共に、東京・上野で開かれていた「フランス美術展」に足を運ばれたこともある。

そうした経験を踏ませながら、「美」の価値創造は私たちの日常のなかにあることを示してくださった。

当時は、ウィーンの王宮やパリの美術館などに、とても行ける時代ではない。

敗戦後の困窮のなか、無我夢中で人間革命の前進を続ける私たちであった。

しかし偉大な師と共に歩む人生には、どんな王国の貴族よりも誇り高く、幸福の心の宮殿が輝いていた。



創価城 花あり 華あり 勝利あり



「文学にしろ、音楽にしろ、一流のものに触れよ」

これが、将来を見据えた戸田先生の指導であった。

先師・牧口先生も、幸福に直結する「美」の価値を貴び、野蛮がはびこる戦時下にも、「文化」を徹して大事にしていかれた。

世の中に、いかに憎悪や嫉妬や堕落や裏切り等々、「醜悪」なるものが溢れていようが、創価の勇者は、昂然と胸を張って、世界を美しくしていくのだ。

そのために、友情を広げよう!誠実を尽くそう!

正義を貫こう! 汝自身の生命の宝を最高に光り輝かせて、生き抜くのだ!

その人生に勝る美はない。

文化は、豊饒なる人間性の大地の開拓であり、智慧の開花である。



一九六一年(昭和三十六年)の十月、私はヨーロッパを初訪問した。

各国の主要都市を回り、点在する同志を全力で励ます間に、パリのルーブル美術館、ロンドンの大英博物館、ローマの遺跡やバチカン宮殿、さらにオーストリアのウイーンにも足跡を刻んだ。

行く先々で文化の宝を目に焼き付けながら、私は美術館の設立構想を、同行友に語ったのである。

ー新たな人間主義の芸術の創造のためにも、世界の民衆を結ぶ文化交流のためにも、美術館を創りたい。いつか全同士が誇れるような、世界中の美の宝を展示していこうーと。

それから半世紀近くを経て、今日、私が創立した東京富士美術館には、世界中から名宝が結集する。〃人類の宝が集まる美術館〃、〃世界が出会う美術館"、"無限のエネルギーを秘めた、若い力の漲る美術館〃等々、識者からも、高い賞賛が寄せられている。



民主音楽協会民音)も一九六三年(昭和三十八年)の創立以来、百カ国・地域を超える国々と交流を重ね、音楽の力で世界の民衆を結んできた。

海外からの招聘公演は、大部市圏だけでなく、全国の地方都市を巡回する。

最高の音楽と舞台芸術を、より多くの方に楽しんでいただきたい。これが、民音の原点であるからだ。

民音推進委員の方々をはじめ、皆様の尊き真心が結晶した文化運動である。

昨年、新中国の建国六十周年を記念して来日された、中国国家京劇院の新作「水滸伝」の公演も大成功であった。

周恩来総理が大切に育んでこられた芸術の至宝である。

団長の王秀雲先生は、私と妻の大切な友人である。

と穎超先生(周総理夫人)との会見の際も、名通訳を務めてくださった。

今も、時を超えて、周総理ご圭妻のお心を受け継ぎ、両国の民衆を結ぶ文化交流を、私たちは積み重ねている。

芸術は理解と尊重の精神を育む。地道に耕された信頼と友誼の大地にこそ、いかなる嵐にも揺るがぬ平和の大樹が林立するのだ。



妙法の 光かがやく 音楽隊 凛々しき君等の 功徳はいかにと



英国の青年詩人キーツははつらつと歌った。

「ひろき河越え 巨き山越え 吾らは進む」「歌いつ舞いつ……」

昨年の十月、創価グロリア吹奏楽団と関西吹奏楽団が、全国大会でそろって「金賞」を勝ちとり、共に日本一の栄冠に輝いた。

それは「信心即勝利」「鍛錬即成長」、そして「労苦即栄光」の青春の勝閏であったといってよい。

〃病床の父に勝利を届けたい〃と、多忙な仕事をやり切りながら、人一倍練習に、学会活動に、懸命に励んだ友がいる。

「金賞」の朗報を笑顔で聞かれた父上は数日後、美しき成仏の相で霊山に旅立たれた。私も妻と追善の題目を送らせていただいた。



正義の魂を呼び覚まさずにはおかぬ迫力の音律!

悩める友の背中を力強く押す勇気のメロディー!

それは、「戦う生命」こそが奏でることのできる、大宇宙のリズムなのだ。

しなの合唱団も、関西男声合唱団も、全国大会で大活躍している。創価ルネサンスバンガードも、堂々の日本一を幾度となく勝ち飾ってきた。

みな我らの誉れである。

御聖訓には「かく(隠)れての信あれば・あらは(顕)れての徳あるなり」(御書一五二七ページ)と仰せである。

誰も知らぬ、喝采のない舞台で、どれほど祈りを込め、どれほど苦労を惜しまず、どれほど努力の限りを尽くしてくれているか。

戸田先生と私の「手作り」の音楽隊は、常に真剣勝負だ、

一心不乱である。

だからこそ、その渾身の演奏は万人の胸を打つ。諸天も揺り動かし、勝利へ勝利へ、仏の陣列の威光勢力を、いやましていくのだ。



あな嬉し 平和の天使の 前進に 広布の直は 幸が燗漫



平和の天使・鼓笛隊も、晴れやかに新出発した。

法華経の妙音菩薩品には高らかに謳われている。

「(妙音菩薩が)経る所の諸国は、六種に震動して、皆悉な七宝の蓮華を雨らし、百千の天楽は、鼓せざるに自ら鳴る」(創価学会法華経610ページ)

全国、全世界で、まさに「天楽」を奏で、希望と勇気の行進を続ける愛娘たちの勝利と幸福を、私と妻は常に見守り、祈っている。  

いつもいつも、各地でのパレードや演奏会、本当に、本当にありがとう!

鼓笛隊の平和のスクラムは、今や世界の約三十に及ぶ国や地域に広がる。 

あの地この地で乙女たちは、若き良き世界市民と光りながら、創価の妙音を奏でている。「力強い演技で人びとを勇気づける姿は、平和の天使そのものです」と、敬愛

する南米ボリビヤの女性リーダーも最大の賛辞を送ってくださった。

広宣流布という、世界で一番、崇高な目的をもつ鼓笛隊である。その使命と目的を自覚した時、思ってもみなかった力が生まれる。

世界的なバイオリン奏者であるメニューイン氏は、「偉大な曲は、〃それぞれの偉大さ〃を備えています」と奮っておられた。味わい深い言葉である。



「桜梅桃李の己己の当体を改めずして」(御書七八四ページ)と、御金言には仰せ

である。

それぞれが尊貴な使命をもつ。鼓笛隊で自身を鍛えた友は強い。一人ひとりが自分らしく胸を張って、社会と広布の最前線で、聡明に希望と幸福の名曲を奏でていくのだ。

ハリウッド女優として活躍するアメリカのショー女子部長も、ブラジルを代表する企業で信頼を勝ち得てきたナカヤマ女子部長も、誉れの鼓笛隊の出身だ。

本年、世界各国で、創立八十周年を祝賀する文化祭や友好祭も行われる予定と伺っている。