小説「新・人間革命」  1月29日 学光3

教育の本義は、人間自身をつくることにある。教育は、知識を糧に、無限の創造性、主体性を発揮しうる人間を育む作業である。

 知識の吸収は、進展しゆく社会をリードするうえで、必要不可欠な条件ではあるが、知識それ自体は、創造性とイコールではない。内なる可能性の発露こそが教育であり、知識は、それを引き出す起爆剤といってよい。

 では、知識を創造へ、生き生きと転ずる力とは、いったい何か――。

 山本伸一は、メッセージのなかで論じていった。

 「それは、社会を担う人間としての自覚と責任であると申し上げたい。人びとの現実生活を凝視し、その向上、発展のために、習得した豊饒な知識を駆使するなかに、創造性の開花があるといえると思うのであります」

 そして、勤労しつつ勉学に励むことは、自分自身を鍛え、視野を広げていく行為であると強調。牧口常三郎が「半日学校制度」を提唱したのも、働きながら学ぶことが、人間教育を志向するうえで、最も適切な環境条件であるからだと訴えた。

 ここで、伸一の声に一段と力がこもった。

 「その意味で皆さん方は“創価教育体現の第一期生”であると申し上げておきたい!」

 集った通教生たちの瞳が輝いた。決意を新たにし、ぎゅっと、唇をかみしめる青年もいた。身を乗り出して拍手をする婦人もいた。

 続いて、伸一は、自らの青年時代の思い出に触れた。窮地に陥った戸田城聖の事業を支えるため、学問の道を、いったん断念せざるを得なかったこと。その代わり、戸田がさまざまな学問を教えてくれたこと……。

 伸一は、深い感慨を込めて、その“戸田大学”での講義の実感を語った。

 「それは文字通り、人生の師と弟子との間に“信”を“通”わせた教育でありました」

 伸一は、創価大学の通信教育の「通信」という意味も、郵便による伝達ということではなく、師と弟子が、互いに“信”